演題

O3-125-9-1

膵頭十二指腸切除術における膵液瘻発症メカニズムと周術期管理

[演者] 上村 健一郎:1
[著者] 村上 義昭:1, 近藤 成:1, 中川 直哉:1, 岡田 健二郎:1, 大毛 宏喜:1, 末田 泰二郎:1
1:広島大学大学院 外科学

[背景・目的] 近年のMeta-analysisでは膵胃吻合の膵腸吻合に対する短期合併症における優位性が報告されている. 我々は従来, 膵頭十二指腸切除術(PD)残膵再建で膵管胃粘膜吻合(PG)を用いている. 今回,当科のPD-PG症例における臨床的膵液瘻(CPF)発症メカニズム解析結果および,それに基づく周術期管理について報告する.
[検討項目]1:膵管胃粘膜吻合+内ステント留置による残膵再建の合併症を検討(n=430). 2:術前胆汁ドレナージ(PBD)施行法に基づく周術期抗菌薬戦略と術後CPFを含む感染性合併症危険因子を解析 (n=250).3:膵酵素活性化,ドレーン培養とCPFの関連を解析(n=250).4:術後臨床因子を用いてCPF予測モデルを確立,ドレーン抜去基準策定(n=200),前向き研究にて妥当性を検証した(n=110).
[結果]1:膵は超音波凝固切開装置にて切離し,膵実質胃膜筋層縫合,膵管胃粘膜吻合の2層で吻合を施行.CPF 7%[GradeA:15%,B:6%,C:1%].合併症Clavien分類Grade3以上10%と低率. 2:周術期抗菌薬はPBD施行なし例はCEZ,内瘻例はCZOP,外瘻例は術前培養より選択.この抗菌薬選択で術中採取胆汁分離菌の90%をカバー可能.CPFを含む感染性合併症危険因子は多変量解析で「使用抗菌薬が胆汁中細菌に感受性がなし」が唯一独立危険因子. 3:術後32%の症例で高AMY血症を発症.高AMY血症はPF発症と相関 (P<0.01). 43%の症例で抜去ドレーン培養陽性.培養陰性例はCPF発症率1%,陽性例は29% (P<0.01)). 術後高AMY血症なく培養陰性例はCPFなく,術後高AMY血症かつ培養陽性例はCPF 60%(P<0.01).CPFに膵酵素活性化と細菌感染の関連が示唆された. 4:CPF予測因子を術後臨床因子術4日非漿液性ドレーン排液,血清CRP値>15.6mg/dlが最も高精度 (AUC 0.866).前向き研究110例予測モデルの感度75%,特異度93%,陰性予測値98%. 91%で早期ドレーン抜去施行,穿刺再留置なく安全にドレーン管理可能であった.
[結語] PD後CPFの発症機序には膵酵素活性化に加え細菌感染の関連が示唆された.確実な手術手技に加え周術期抗菌薬戦略やドレーン管理などの感染対策が安全性向上のための周術期管理として肝要と考える.
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