演題

O3-124-9-5

膵頭十二指腸切除後の膵液漏と出血の発生危険因子の考察- ドレーン培養に着目して

[演者] 佐藤 朝日:1
[著者] 増井 俊彦:1, 内田 雄一郎:1, 三小田 直:1, 仲野 健三:1, 穴澤 貴之:1, 高折 恭一:1, 川口 義弥:1, 上本 伸二:1
1:京都大学大学院 肝胆膵・移植外科学

【はじめに】膵頭十二指腸切除(PD)術後膵液漏(POPF)は時に致死的であり,危険因子や吻合法, ドレーン管理について様々なエビデンスが報告されてきた.しかし,術者・病院の経験数による影響や,吻合法の変遷に伴い,未だに決め手に欠けるのが現状である.今回我々は当院におけるPD後POPFの危険因子, 重症化因子を解析し,それを踏まえた適切な周術期管理を考察した. 【方法】2011.1-2016.12に当院でPDを施行した患者179名を後方視的に解析. (1) ISGPF Grade B,CのPOPF発生危険因子を①患者背景, ②手術因子, ③術後因子に分けて解析. (2)出血性合併症の危険因子をPOPF Grade A-Cの患者を対象にサブグループ解析.【結果】全例膵腸吻合を施行し(柿田法:125例, Blumgart変法 54例),Grade B,C POPFの発生率は17.3% (31/179)で吻合法による有意差なし. (1) POPF群では①術前クレアチニン低値(p=0.025), Body mass index高値(p=0.040),非膵癌(p=0.001)②soft pancreas(p<0.001),狭小膵管径(p=0.014), ③ 1POD ドレーンアミラーゼ高値(p<0.001), 白血球数/CRP高値(p<0.001/0.005), ドレーン培養陽性(p<0.001),長期ドレーン留置(p<0.001)が有意に認められた. 多変量解析では1PODドレーンアミラーゼ高値とドレーン培養陽性が独立危険因子であった. (2) POPF関連出血は全Gradeの51例中9例(18%)に発生し, 術後白血球数高値(p=0.034), ドレーン培養にて多菌種検出(p=0.034),Candida検出(p<0.001)の頻度が高かった.吻合法で比較すると, Blumgart変法を行った症例では柿田法に比べて多菌種検出の頻度が少ない傾向が認められ(1.9% vs 8.8%, p=0.058), 同手技は感染菌種の減少により出血性合併症を軽減する可能性があるが,さらなる症例の蓄積を要する.【まとめ】これまで指摘されてきた患者背景,手術因子に加えて, POPFや出血の発症には, 膵液の存在に, Candidaを含む微生物の多重感染による炎症が作用することが示唆された.POPFを減らすためには, いかに感染の影響を排除できるかが重要である.
詳細検索