演題

O3-124-9-1

膵頭十二指腸切除後膵液瘻に対する対処法とその成績~手術死亡率ゼロを目指して~

[演者] 仲田 興平:1
[著者] 大塚 隆生:1, 森 泰寿:1, 宮坂 義浩:1, 永井 俊太郎:1, 大内田 研宙:1, 真鍋 達也:1, 永井 英司:1, 中村 雅史:1
1:九州大学大学院 臨床・腫瘍外科学

<はじめに>
膵頭部十二指腸切除後(PD)の死亡率は2.8%と報告されており,その原因として最も重要である術後膵液瘻の発生率は10-20%と高い状況である.PD後膵液瘻の予防法が確立されていない現状では,術後に発生した膵液瘻を致死的状況に至らせないように制御することが,他の消化管手術に比べて高い死亡率の改善に重要である.
また,術後膵液瘻が発生した際には,ドレナージを十分に行うことが重要であるが,膵液瘻の程度によっては術後に留置したドレーンによる管理だけでは不十分であり,その結果として仮性動脈瘤形成を形成し,出血を生じることがある.当科では術後膵液瘻に対してドレナージが不十分な症例に対しては積極的に正中創を開放しドレナージを行っているので,その方法および成績を報告する.
<方法>
2010年1月から2016年11月までに当科で膵頭部十二指腸切除を行った406例を解析した.当科では膵頭部十二指腸切除術後には閉鎖式ドレーンを2~3本留置し,術後1,3日目に排液アミラーゼ値を測定.膵液瘻の所見がなければ原則術後3日以内に抜去している.術後腹腔内膿瘍が疑われる場合にはCTを撮影し,液体貯留が確認された症例はドレナージが不十分と判断し,ベッドサイドもしくは透視室で正中創を5-7cm開放して膿瘍腔を直接確認し,開放ドレナージを行っている.また2016年からは正中開放例では持続洗浄,および陰圧閉鎖療法(VAC療法)による管理を開始している(正中創開放群).液体貯留が軽微な場合にはドレーン留置を継続している(ドレーン留置群).
<結果>
ISGPF国際基準によるGrade B以上の膵液瘻は403例中53例(13.1%)で発生した.膵液瘻に対する治療法はドレーン留置群が36例(67.9%),正中創開放群が17例(32.1%)であった(持続洗浄+VAC:3例).術後在院日数中央値はドレーン群,正中創開放群それぞれ34日(24-66日),47日(23-70)であり,両群に有意差を認めなかった.一方,仮性動脈瘤の破裂による腹腔内出血は403例中1例(0.2%;ドレーン群)で認めたが,在院死亡率および周術期死亡率はともに0%であった.
<結語>
当科における膵液瘻の発生率はこれまでの報告とほぼ同等であるが,ドレナージ不十分症例に対して速やかに正中創を開放し,十分なドレナージをすることがPD後死亡率ゼロにつながっていると考えられる.
詳細検索