演題

O3-109-6-6

高度門脈侵襲陽性肝癌に対する集学的治療戦略

[演者] 居村 暁:1
[著者] 吉川 雅登:1, 寺奥 大貴:1, 齋藤 裕:1, 岩橋 衆一:1, 池本 哲也:1, 森根 裕二:1, 島田 光生:1
1:徳島大学病院 消化器・移植外科

【背景】高度脈管浸潤を有する進行肝癌の治療選択について,肝機能が良ければ「肝切除・肝動脈塞栓療法・肝動注化学療法が選択される場合がある」という注釈はあるが確立されていない.我々は切除可能であれば積極的に肝切除を行い,術後にIFN併用化学療法(IFP)を行ってきた(HGE 2008, J Surg Res 2012).
【目的】Vp≧3の進行肝癌に対するIFP療法,肝動注後のConversion肝切除ならびにソラフェニブの成績を検討し,進行肝癌に対する治療戦略を再考する.
【方法】(1)IFP療法.基礎的検討:MH134マウス肝癌細胞に対するIFNの腫瘍細胞増殖・浸潤抑制ならびに血管新生因子の発現抑制効果を検討した.IFNの皮下腫瘍モデルに対する増殖抑制効果,さらには脾注肝転移モデルにおける転移抑制効果を検討した.臨床的検討:Vp≧3の進行肝癌症例16例(観察期間中央値1.4年[0.1-16.5])をIFP群8例,非施行群8例に分け後方視的に累積及び無再発生存率,再発形式などを検討した.
(2)肝動注後のConversion肝切除.肝動注後のVp≧3肝癌に対する肝切除3例.
(3)高度Vpに対するソラフェニブの効果.投与38例中Vp≧3は9例.
【成績】(1)IFNはMH134肝癌細胞の増殖・浸潤能を抑制し,皮下腫瘍モデルの増殖抑制,また脾注肝転移モデルにおいてIFNは肝転移を抑制し,肝転移巣におけるMVDを減少させた.臨床的には,IFP群が非施行群と比較し累積生存率で有意に良好であり(1年:100% vs 0%,3年: 88% vs 0%,p<0.01),無再発生存率においてもIFP群が有意に良好であった(1年: 50% vs 0%,2年: 50% vs 0%,p<0.01).再発形式は非施行群全例で残肝多発,遠隔再発といった制御不能な再発であったが,IFP群では再発5例中3例は局所治療にて病勢コントロールが可能であった.
(2)全例に葉切除+腫瘍栓摘出が施行された.全例摘出した腫瘍栓にViable cellは認めず,肝内病変も病理学的には殆どが壊死と判断された.観察期間は短いが全例で新病変は認めていない.
(3)全体では1生率:58%,PR:5%であった.遠隔転移の有無による予後の差は認めなかったが,Vp陰性例と比較しVp≧3症例の予後は有意に不良であり,全例で病勢制御不能であった.
【まとめ】高度Vpに対するソラフェニブの効果は期待できない.肝機能が良ければ,肝切除+IFPは予後を改善しうる有用な治療オプションである.また,肝動注先行例でも切除可能となった時点での肝切除を念頭に置いた観察が必要である.
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