演題

O3-109-6-5

切除可能な高度進行肝癌に対する術前New FP療法先行肝切除の有用性

[演者] 酒井 久宗:1
[著者] 後藤 祐一:1, 福富 章吾:1, 野村 頼子:1, 佐藤 寿洋:1, 石川 博人:1, 安永 昌史:1, 田中 啓之:1, 赤木 由人:1, 奥田 康司:1
1:久留米大学病院

【はじめに】我々は,これまでに切除不能な進行肝癌に対してDownstaging chemotherapyを行い,切除可能となった症例の予後が良好である事を報告し,切除可能な進行肝癌もBorderline resectabilityとして取り扱い術前化学療法を行うべきであると主張してきた.【目的】高度進行肝癌(HCC)のうち,R0切除が可能な症例に対する術前New FP療法先行肝切除が予後に与える影響を検討する.【方法】対象は2013年1月から2016年4月までに当科を受診した症例で,腫瘍径5cm以上で多発,腫瘍径5cm以上で肉眼的腫瘍栓あり(Vp2, Vv2以上),腫瘍径10cm以上のいずれかを満たすHCCで,初診時にはR0切除が可能であると判断した症例21例.術前New FP療法(NFP)を先行した症例13例(A群)と,一期的に肝切除を行った症例8例(B群)の生存及び再発を比較検討した.【結果】腫瘍因子は腫瘍径(88.5cm vs. 69.1cm),腫瘍個数(2.3個 vs. 2.1個),治療前の腫瘍マーカーともに両群において有意差を認めなかった.A群の1例はNFP中に多発肺転移を認め切除不能として化学療法を継続したため,A群の治療完遂率は92%で化学療法期間は3.8±0.6ヶ月であった.6ヶ月,1年,2年無再発生存率はA群で91%, 78%, 52%,B群で37%, 25%, 0%であった(p<0.01).1, 2年全生存率はA群で100%, 100%,B群で87%, 70%であった(p=0.07).再発様式はA群で肝内単発再発が,B群で肝内多発再発及び遠隔転移再発が多かった.【考察】本検討において術前NFP療法を施行した症例の予後は一期的に切除した症例より良好であった.一期的切除を行った症例は術後6ヶ月以内の再発が多く,再発様式も肝内多発や遠隔転移再発が多く予後不良の要因と考えられた.今回A群の1例がNFP中に多発肺転移を来たし肝切除不能となったが,速やかに全身化学療法を導入し3年10ヶ月生存した.このことから進行肝癌に対する術前化学療法はsurgical candidateをよりよく選択する意味でも有用と考えられた.【結語】術前NFP療法先行肝切除は局所進行肝癌の予後を改善すると考えられる.
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