演題

O3-109-6-3

肉眼的静脈内腫瘍栓を伴った進行肝細胞癌に対する手術成績

[演者] 野田 剛広:1
[著者] 江口 英利:1, 和田 浩志:1, 岩上 佳史:1, 山田 大作:1, 浅岡 忠史:1, 後藤 邦仁:1, 梅下 浩司:2, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ, 2:大阪大学大学院 周手術期管理学

【はじめに】肉眼的静脈内腫瘍栓(Vv)を伴う進行肝細胞癌(Vv-HCC)の予後は極めて不良である,外科的切除は唯一長期生存が期待できる治療法であるが,周術期合併症や術後早期再発など克服すべき課題も多い.教室では,Vv-HCCに対しても積極的に肝切除を施行しており,その治療成績について報告する.また右葉切除例においては,脱転操作による腫瘍散布を防ぐ目的で前方アプローチによる肝切除を試みている.今回,その手術手技と術後短期成績について検討したので報告する.【対象と方法】2016年12月までに肝切除を施行したVv-HCC 47例を対象とし,生存率および無再発生存率,初回再発部位について検討を行った.右葉切除例14例において前方アプローチによる短期成績について検討した.【成績】年齢の中央値は65歳(Range 39-84),男女比は42:5, Child-Pugh A/B 33:14であった.HBsAgは,17例に陽性.HCVAbは17例に陽性であった.腫瘍個数は,単発16例,多発31例,腫瘍径の中央値は75mmであった.静脈内腫瘍栓の進展度は,Vv1-2 (n=19), Vv3 (n=18)であった.門脈内腫瘍栓(Vp)を31例に認めた.葉切除以上の肝切除を26例に施行し,肉眼的腫瘍遺残(R2)は16例であった.腫瘍栓の摘除は,2例では人工心肺を用いた体外循環下に開心術を要した.手術関連死亡は認めなかった.47例の1年,3年,5年全生存率は56%,32%,19%であった.肉眼的腫瘍遺残のない切除を施行した31例(R0/1)における1年,3年,5年無再発生存率は,38%,18%,18%であり,主たる再発部位は,残肝15例,肺8例,リンパ節2例,脳,骨,腹膜1例ずつ(重複4例)であった.右葉切除例14例中,前方アプローチを3例に施行した.手術時間は552分 vs 517分と差を認めなかった.出血量は6473 ml vs 4584 mlと前方アプローチにて増加するものの,有意差を認めなかった.【結語】Vv-HCCに対する肝切除後の主たる再発部位は,残肝と肺であった.前方アプローチによる肝切除は,症例は少ないものの安全に施行可能であり,長期成績については今後の検討課題である.
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