演題

O3-109-6-2

高度脈管侵襲を伴う肝細胞癌に対する治療成績

[演者] 坂本 和彦:1
[著者] 徳久 善弘:1, 徳光 幸生:1, 飯田 通久:1, 鈴木 伸明:1, 武田 茂:1, 吉野 茂文:2, 硲 彰一:3, 上野 富雄:1, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 先端分子応用医科学講座(消化器・腫瘍外科学), 2:山口大学附属病院 腫瘍センター, 3:山口大学医学部 先端がん治療開発学

【目的】Vp3以上もしくはVv3を伴う肝細胞癌(以下HCC)は外科的治療を基軸とした集学的治療によって長期予後が得られる症例も存在する.近年,術前治療の反応性が予後に影響を与えるとの報告もあり当科では2005年以降,積極的に術前肝動脈持続動注療法と腫瘍栓に対する放射線治療を導入している.当科で外科的治療を施行した高度脈管侵襲を伴うHCCに対する治療成績について報告する.
【対象・方法】対象は1995年から2016年7月までの間の遠隔転移を伴わないVp3-4またはVv3を伴うHCC36例.
【結果】内訳はVp3-4:30例(83.3%),Vv3:9例(25.0%)(Vp+Vv:3例).両葉多発:12例(33.3%).HBV:22例(61.1%),HCV:9例(25.0%)(HBV+HCV:3例,nonBnonC:8例).術前化学療法を施行したのは12例(33.3%),放射線治療を施行したのは7例(19.4%).施行術式はほとんどが葉切除以上であった(31例,86.1%).25例は全切除可能であり(R0群),残肝に腫瘍もしくは腫瘍栓が残存したのは11例(30.6%)(R1群)であった.R0群において術後補助療法を施行したのは7/25例(28.0%),R1群において術後治療を施行したのは10/11例(90.9%)であった.全症例の生存期間中央値(MST)は19.2ヶ月で,1年/3年生存率は73.9%/30.5%であった.R0群はR1群より有意に予後良好であった(1年/3年生存率:83.4%/37.2% vs. 54.6%/13.6%,p<0.05).術前治療別の3年生存率はR0群において治療有:80.0%,無:27.8%であり予後良好な傾向が認められた(p=0.12).R1群において差は認められなかった(治療有:0%,無:16.7%).術後治療別では施行の有無によってR0群,R1群ともに差はなかった.
【結語】術前治療による予後改善の傾向が認められた.また,術前治療後の治療反応性を確認することで手術症例を選択できる可能性が示唆された.ただし腫瘍が残存した症例は有意に予後不良であり,手術適応については慎重に決定すべきである.
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