演題

O3-109-6-1

高度脈管浸潤陽性肝細胞癌に対する単回肝動注治療効果に基づいた外科的治療戦略

[演者] 加藤 悠太郎:1
[著者] 棚橋 義直:1, 小島 正之:1, 香川 幹:1, 中嶋 早苗:1, 木口 剛造:1, 辻 昭一郎:1, 三井 哲史:1, 杉岡 篤:1
1:藤田保健衛生大学病院 外科

【目的】Vp3-4,Vv2-3の高度脈管浸潤陽性肝細胞癌症例は切除率も低く,予後不良疾患群である.当科では本群に対してcarboplatin, adriamycin, mitomycin (CAM)の単回肝動注後に切除適応を決定し,適応患者には積極的な切除を行っており,本法の有効性を後方視的に検討した.【患者と方法】2016年11月までのVp3-4,Vv2-3陽性肝細胞癌104症例中93例にCAM肝動注を行った.施行後2週間で画像と腫瘍マーカーの変化から効果を判定し,CAM有効例および無効例でも画像上SDで耐術可能なら肝切除+腫瘍栓摘除(n=77: 切除率74%)を施行し,それ以外は非切除として持続肝動注,sorafenib,BSCを選択した.CAM施行93例中有効例は22例(24%)であった.切除例77例(CAM施行66例+非施行11例)での腫瘍栓進展状況はVp3:22例,Vp4:36例(うち14例は対側門脈2次分枝浸潤),Vv2:6例,Vv3:6例,Vp3-4+Vv2-3:6例であった.切除77例の生存率,再発についてCAM有効群(n=22),無効群(n=44),非施行群(n=11)で比較し,予後因子を検討した.なお術後補助化学療法を18例に施行した.【結果】術後1,3,5年 全生存率は CAM有効群で81%,52%,26%,無効群で20%,8%,0%,非施行群で8%,8%,8%(p<0.0001),MSTは36,6,1か月であった.各群の3年無再発生存率は20%, 0%, 0%(p<0.0001)で無再発生存期間中央値は16, 2, 1か月であった.以上よりCAM有効群は他2群に比して有意に予後良好であった.無再発は6例で全てCAM有効群であった.肝外再発は有効群で無効群より有意に少なく(23% vs 56%, p=0.04),再発後生存期間中央値は有効群で有意に長かった(12か月, p=0.001).切除後予後に対する単変量解析ではCAM有効,ICG15分値<20%,切除断端陰性,手術時間1000分以内,出血量3000g以内が予後良好の因子で,多変量解析ではCAMへの反応性は全生存(p=0.02),無再発生存率(p=0.04)に対する唯一の独立予後規定因子であった.なお,非切除16例中,肝予備能不良のため持続肝動注を行った2例に3年生存を認めたがMSTは2ヶ月であった.【結論】CAMは非切除とすべき予後不良患者を発見するための簡便かつ安全なチャレンジテストである.CAMへの反応性は切除後の独立予後規定因子であり,長期生存を得るためにはCAMへの反応性を基盤とした積極的な外科的戦略が有用である.
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