演題

O3-111-6-5

当科における血液型適合・抗ドナーHLA抗体陽性生体肝移植の成績と戦略

[演者] 篠田 昌宏:1
[著者] 板野 理:1, 尾原 秀明:1, 北郷 実:1, 日比 泰造:1, 阿部 雄太:1, 八木 洋:1, 星野 健:1, 黒田 達夫:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

【背景】肝移植に関する様々な問題が解決されるなか,近年抗ドナーHLA抗体(DSA)の意義が注目されている.当施設では,リンパ球細胞障害試験(LCT),ABO不適合(ABOI)の結果によって術後門注療法を含む周術期管理を決定してきた.Pre formed DSAやde novo DSAに焦点を当て当施設の血液型適合・抗ドナーHLA抗体陽性生体肝移植の成績をまとめた.
【方法】<検討1・Pre formed DSAの検討>成人生体肝移植例で,血液型適合性,術前LCT,抗HLA抗体スクリーニング検査(PRA,リプロセル社)が明らかな25症例を対象とした.(PRA,ABOI)=(-, -),(+, -),(-, +),(+, +)の4群の6か月生存率を比較検討した.(PRA,ABOI)=(+, -)群の患者に抗HLA抗体シングル抗原同定検査(Luminex,リプロセル社)を施行してDSA陽性例を同定,その成績を検討した.<検討2・De novo DSAの検討>当施設の生体肝移植256例から抗体関連拒絶(AMR)を発症した症例を抽出し,LCT,PRA,DSA等の情報と成績を解析した.<当科免疫抑制>全例でCNI,ステロイド,代謝拮抗剤の3剤を全身投与,症例によってPGE1等1~3剤の門注療法を採用,ABOI例では門注を3剤(PGE1,FOY,ステロイド),リツキシマブ投与,脾摘,血漿交換.
【結果】<検討1> (PRA,ABOI)別症例数は,(-, -),(+, -),(-, +),(+, +)がそれぞれ9,11,4,1例で,各群の6か月生存率はそれぞれ62,81,100,100%であった.(+, -)群の中でPre formed DSA陽性であった症例は5例でうち4例は10,000MFI以上の強陽性であった.全例リツキサンを使用せず門注1~3剤,CNI,ステロイド,代謝拮抗剤を使用しAMRを発症せず軽快退院し生存中である.<検討2> AMRを発症したと考えられる症例は4例存在し, いずれも術前は(PRAまたはLCT,ABOI)=(-, -)であったが,術後関連検査(1例でLCT,1例でPRA,2例でLuminex)でde novo DSAが出現したことが示唆された.3例は死亡,1例はグラフト不全となったが生体再移植で救命した.4例中3例は,癒着等で門注カテを挿入しなかった症例であった.
【結語】当施設のPre formed DSA陽性例はいずれも成績良好であったが,De novo DSAが出現した症例の成績は不良であった.当施設は,現在もABOI移植で門注療法(3剤使用)を採用しているが,1~3剤の使用は血液型適合移植におけるDSAによる免疫反応を制御する可能性があると考えている.
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