演題

O3-111-6-4

サルコペニアならびに術前体組成に基づく新たな生体肝移植適応基準の提唱

[演者] 濱口 雄平:1
[著者] 海道 利実:1, 奥村 晋也:1, 小林 淳志:1, 白井 久也:1, 姚 思遠:1, 八木 真太郎:1, 加茂 直子:1, 岡島 英明:1, 上本 伸二:1
1:京都大学附属病院 肝胆膵・移植外科

【目的】これまで我々は,術前サルコペニア(骨格筋量低下や質の低下)が肝移植後独立予後不良因子であることを報告してきた.そこで我々は,安全・安心な臓器移植のためには移植成績を高めるべきと考え,2013年より「自立歩行可能であること」というサルコペニアを考慮した移植適応を適用し,移植成績が向上した.今回,より客観的な移植適応の確立をめざし,筋肉量および質に加え新たに内臓脂肪・皮下脂肪量に注目し,サルコペニアと術前体組成に基づく新たな生体肝移植適応基準を確立したので報告する.
【方法】対象は2008年1月から2016年6月までに当院で施行した成人生体肝移植症例277例.術前単純CTを用い,筋肉量はSMI (skeletal muscle mass index; L3レベルの骨格筋面積(cm2)/(身長(m))2),筋肉の質(筋脂肪化)は多裂筋IMAC (intramuscular adipose tissue content; 多裂筋のCT値/皮下脂肪のCT値.高値ほど質が低い)にて評価.同レベルでVSR (visceral to subcutaneous adipose tissue area ratio; 内臓脂肪面積/皮下脂肪面積)を算出.SMI,IMAC,VSRのカットオフ値は健常ドナー657例のデータから算出.検討項目は,1)術前SMI,IMAC,VSR別の移植後生存率,2)これら3因子の異常項目数別移植後生存率,3)肝移植後独立予後不良因子(多変量解析).
【結果】1)SMI低値群(P<0.001),IMAC高値群(P<0.001),VSR高値群(P<0.001)では正常群に比較し有意に生存率が低値.2)異常項目数なし群 (N=102),1ヶ群(N=108),2ヶ群(N=50),3ヶ群(N=17)の1年生存率は,各々98%,78%,60%,41%で,項目数が増えるにしたがい有意に予後不良(P<0.001).2)術前SMI低値(Hazard ratio [HR]=2.367, P=0.002),IMAC高値(HR=2.096, P=0.004),VSR高値(HR=2.213, P=0.003)が移植後独立予後不良因子.これらの結果を踏まえ,2016年10月より,異常項目数3ヶを移植除外基準とした.
【結語】筋肉量・質の低下および内臓・皮下脂肪量比の増加は生体肝移植における予後不良因子であり,これら3因子を加味した新移植適応基準を確立した.
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