演題

O3-111-6-2

安心・安全な上腹部正中切開法によるドナー右肝切除術

[演者] 片桐 聡:1,2
[著者] 有泉 俊一:1, 高橋 豊:1, 小寺 由人:1, 大森 亜紀子:1, 山下 信吾:1, 根本 慧:1, 江川 裕人:1, 新井田 達雄:2, 山本 雅一:1
1:東京女子医科大学病院 消化器外科, 2:東京女子医科大学八千代医療センター 消化器外科

【目的】生体部分肝移植ドナーの右肝切除は従来から大きな皮膚切開創で視野を確保することが必要とされ,時には開胸操作も行なわれてきた.肝受動脱転を十分に安全に行なう必要があり,左手を腹腔内に挿入し右肝把持を行なわなければならない.しかしながら,器材の進化や手技の工夫により小さな皮膚切開で左手を挿入しない右肝切除が可能となった.今,安心・安全な手技として標準化すべきである.【方法】生体部分肝移植ドナーの上腹部正中切開による右肝切除は以下の4点が重要である.(1)KENT開創器の高位牽引:従来の固定位置である前胸部胸骨からアーチまでの高さが,握り拳1つ分から拳2つ分の高位に固定する.高位牽引により腹腔内に空間が生まれ肝脱転が可能となる.側方部はバルファー型開創器を併用する.(2)中枢側からの間膜切除と肝脱転:肝円索を牽引し最も浅い肝静脈根部周囲から末梢に向かって冠状~三角間膜を切離する.深部での剥離操作は最後に行う.肝臓全体を左牽引器の下方空間へ第一助手が押し込むように脱転を行うことで背側視野は良好になる.(3)stay sutureによるcounter traction: 肝離断面の左右肝実質に指示糸(stay suture)を等間隔で順次かけて適切な緊張を保つ.肝を腹腔から引き出す感覚で行う.下大静脈周囲操作ではhanging maneuverもcounter tractionとして応用する.(4) Anterior approach techniqueの応用:これらの手技は巨大肝癌に対するnon-touch isolation techniqueからの応用である.【結果】2012年以降の右肝graftによる生体部分肝移植ドナーは18例.皮膚切開はJ-shape (J):8例:upper median (M):10例.それぞれの中央値はJ:Mで年齢41:58歳,手術時間 276:254分,出血量 607:209cc,術後在院日数 11:12日であった.正中切開創は12~20cm 中央値15cmであった.【結論】上腹部正中切開による生体部分肝移植ドナーの右肝切除は安心・安全に施行でき,定型化,標準化することが可能である.現在当科で行われている上腹部正中切開の右肝切除のvideoとともに報告する.
詳細検索