演題

O3-111-6-1

当院での安全・安心な膵腎移植への取り組み

[演者] 浅利 貞毅:1
[著者] 外山 博近:1, 後藤 直大:1, 寺井 祥雄:1, 椋棒 英世:1, 白川 幸代:1, 味木 徹夫:1, 木戸 正浩:1, 福本 巧:1, 具 英成:1
1:神戸大学大学院 肝胆膵外科学

1997年臓器移植法制定後,当院では2006年を第1例目として,2016年12月までに8人の1型糖尿病患者に対し8例の脳死膵腎同時移植と1例の膵単独再移植を行った.移植後重篤な合併症として,ドナーHLAにホモ接合体を含む0ミスマッチタイピングにより発症したと考えられる急性GVHDによる在院死亡1例,グラフト血栓症による膵グラフト脱落1例,十二指腸グラフト断端縫合不全・急性汎発性腹膜炎による膵グラフト脱落1例を経験した.また,血管内治療により膵グラフト機能不全を回避したグラフト血栓症1例,サイモグロブリン投与により寛解したステロイド抵抗性拒絶1例を経験した.
以上の経験から中規模症例数を担う移植センターとして安全・安心な膵腎移植が遂行できるよう,下記取り組みを行っている.
術前,ドナー・レシピエント間のHLAタイプをGHVD方向も含め再検討している.手術手技については,膵グラフトをput-inし再灌流前に脾グラフトを摘出している.また,Roux-en-Y法による腸管ドレナージを行っている.さらに,術後1週間を目安にグラフト血栓の予防目的でヘパリンを投与し,ドップラーUSで1日2回グラフト血流を確認している.血液検査で拒絶が疑われた場合,躊躇なく腎生検とステロイドパルス療法を行い,腎臓移植医とともに治療方針を決定している.特に注視している移植後合併症は,下痢症である.軽症のものも含めれば高頻度に起こり得るが,難治化すれば患者のQOLを著しく損なう.感染性,虚血性,薬剤性腸炎によるもの,またGVHDでも下痢症が起こり得ることなど鑑別診断が多岐に渡るため,重篤化する以前に大腸ファイバーならびに組織生検を行い,消化器内科医や感染症内科医と議論し治療方針を決定している.
一方,移植後のみならず移植前から安心して療養できるよう,2010年度の改正臓器移植法の施行を契機に,待機患者あるいは移植後患者とその家族を対象に,年1回情報交換会を行っている.医療者側から膵腎移植に関する最新の知識・情報を提供することで移植医療に対する不安の軽減に努めている.また,待機患者は,移植後患者から実際に体験した移植医療を聞き共有することで心の準備を行い,移植後患者は,同じ移植後患者どうしで悩みを共有し,療養の励みとしている.
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