演題

O1-32-13-6

炎症性腸疾患センターにおける潰瘍性大腸炎外科治療成績の変遷

[演者] 中尾 紗由美:1
[著者] 板橋 道朗:1,2, 谷 公孝:1,2, 松尾 夏来:1,2, 小川 真平:1,2, 岡本 高宏:1, 飯塚 文瑛:3, 徳重 克年:3
1:東京女子医科大学病院 第二外科, 2:東京女子医科大学病院 消化器外科, 3:東京女子医科大学病院 消化器内科

【目的】潰瘍性大腸炎(UC)手術症例の臨床学的特徴と治療成績の変遷を検討する.
【対象・方法】1)1987~2015年に当科でUCに対する初回手術を行った184例を手術年で前期(~2008年) ;A群と後期(2009年~) ;B群の2群に分け比較.2)184例中pouch手術を行った158例を前期(C群)と後期(D群)で比較した.
【結果】1)A群は(n=128)男性86例,女性42例で平均手術時年齢は39歳,手術適応は出血/重症が27例(21%),難治が72例(56%),癌/dysplasia(D)が29例(22%)で,緊急手術を30例(23%)に行い, 鏡視下手術は34例(26%)であった.術直前のステロイド(PSL)投与は104例で平均投与量は55mg/日であった.周術期に合併症(Clavien-Dindo分類≧2)を78例(61%),感染性合併症を45例(35%)に認め,周術期死亡は3例(2%),術後在院日数は平均33日であった. B群は(n=56)男性33例,女性23例で平均手術時年齢は42歳,手術適応は出血/重症が7例(12%),難治が25例(44%),癌/Dが21例(37%)で,緊急手術を8例(14%)に行い,鏡視下手術は30例(53%)であった.術直前のPSL投与は41例で平均投与量は10mg/日であった.周術期に合併症を23例(41%),感染性合併症を10例(17%)に認め,周術期死亡は1例(1%),術後在院日数は平均2 6日であった.周術期死亡例を除いた179例の術後観察期間は平均91カ月で11例が死亡した.死因は癌死が5例,他病死が5例,晩期合併症が1例で,累積全生存率は術後1年で95%,5年で91%であった.2)C群(n=109)は1期手術が6例,2期分割が97例,3期分割が5例で吻合法は回腸嚢肛門吻合(IAA)が47例,肛門管吻合(IACA)が62例であった. pouch機能率は91%でpouch機能までの平均期間は6カ月であった.D群(n=49)は2期が46例,3期が3例でIAAが14例,IACAが35例であった. pouch機能率は100%,機能までの平均期間は5カ月であった. pouch機能例149例中,8例(5%)にpouch failureを認め,failureまでの平均期間は53カ月で,原因は痔瘻/膣瘻が3例,晩期縫合不全が2例,pouch出血が1例,癌再発が1例であった.累積pouch温存率は術後1年で98%,5年で96%,10年で93%であった.
【考察・結語】後期は前期より周術期合併症,術後在院日数が減少し,短期成績が改善した.タクロリムスや抗TNFα抗体製剤の登場と,当院では2009年~消化器内科と合同の炎症性腸疾患センターが開設されたことで,PSL使用量が減少し,緊急手術に至る前に適切な手術時期を決定できるようになったと考えられた.今後,長期成績の更なる改善のため系統的なフォローアップ計画の確立が必要である.
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