演題

O1-32-13-5

潰瘍性大腸炎に対する外科治療の変遷とQOLの評価

[演者] 山本 真義:1
[著者] 鈴木 克徳:1, 鈴木 雄飛:1, 川村 崇文:1, 阪田 麻裕:1, 原田 岳:1, 菊池 寛利:1, 坂口 孝宣:1, 倉地 清隆:1, 今野 弘之:1
1:浜松医科大学医学部 外科学第二

【緒言】 潰瘍性大腸炎に対する外科的治療として腹腔鏡下大腸全摘術を適応する施設が増えており,当科においても2002年より用手補助腹腔鏡下手術(HALS),2011年より完全腹腔鏡下大腸全摘術を導入している.腹腔鏡下大腸全摘術は低侵襲であるが,手術時間が開腹手術に比べ長く,術前の全身状態不良症例における安全性,有用性は明確となっていない.今回我々は,腹腔鏡下大腸全摘術の有用性を,周術期の短期成績を示し,さらにSF-36およびIBD questionairによる患者アンケートをもとにしたQOL評価による長期的成績評価を行った.また当院独自のOpen question方式によるアンケート項目を設け,何が患者側にとって最も術後QOLに影響するのか解析した.【対象と方法】1996年1月から2016年8月までに当科にて潰瘍性大腸炎に対して手術を施行した90例を対象とした.【結果】内訳は開腹(OP)33例,用手補助下腹腔鏡手術(HALS)31例,完全腹腔鏡下手術(LAP)26例であった.平均手術時間はOP群260±91.1分,HALS群279.7±83.2分,LAP群376.2±129.5分であり,LAP群で有意に長かったが,術後在院日数はOP群35.3±22.7日,HALS群29.5±15.4日,LAP群23.5±10.1日とLAP群で有意に短く,出血量はOP群623±876.4ml,HALS群434.2±277.9ml,LAP群149.6±203.8mlとLAP群で有意に少なく(それぞれp<0.01)短期成績は良好であった.SF-36のサブスケール解析では,すべてのサブスケールにおいてOpen群はHALS, Lap群に比較して低いスコアである傾向を認めたが,統計学的に有意差が認められたものは身体機能(PF)のみであった.美容面ではLap群で有意に満足度が高かったが,手術前後でQOLが改善したという患者の割合は,いずれの群においても約80%で「強くそう思う」または「そう思う」との回答がえられており,術後長期のQOLに関しては,いずれの術式もほぼ同等であることが示された.また多くの患者が「もう少し早く手術を受ければ良かった」と回答しており,より早期の外科的介入が患者のQOL向上のために必要であると思われた.【結語】潰瘍性大腸炎に対する外科的治療として腹腔鏡下大腸全摘術は術後の短期成績は良好であり有用な術式であるが,長期のQOLに関しては開腹手術とほぼ同等であり,術式如何に関わらず至適時期の外科的介入が患者のQOL向上に最も貢献する可能性が示唆された.
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