演題

O1-19-10-6

T4b胸部食道癌に対する集学的治療戦略

[演者] 小柳 和夫:1
[著者] 加藤 文彦:1, 岩部 純:1, 井垣 弘康:1, 日月 裕司:1
1:国立がん研究センター中央病院 食道外科

【目的】切除不能局所進行胸部食道癌に対する治療戦略として,根治的化学放射線療法に加え導入化学療法が近年,積極的に検討されている.T4b胸部食道癌に対する集学的治療戦略を検討した.
【方法】2005年から2016年6月までに切除不能と診断し治療を行った局所進行胸部食道癌を対象とした.鎖骨上窩リンパ節転移以外の遠隔転移例を除外した150例に関して臨床腫瘍学的所見,治療法,手術成績,予後等を検討した.TNM分類はUICC7版に準拠した.
【結果】男性 120例,女性 30例で年齢中央値は 65 (40-81) 歳であった.腫瘍主占居部位はUt/Mt/Ltが各59/71/20例,病型はType 0/1/2/3/4/5が3/11/77/47/3/2例,扁平上皮癌が142 (95%) 例であった.cT3/T4bが8/142例でありT4臓器として大血管/気管・気管支/下肺静脈/椎体を49/110/4/4例 (重複あり) に認めた.cN0/1/2/3が13/57/55/25例,cStageIIA/IIIA/IIIB/IIIC/IV(No.104LN)が各1/3/3/84/59例であった.初回治療として根治的化学放射線療法/導入化学 (放射線) 療法/化学療法が86/27/29例に施行され,導入化学療法のレジメンはDCFが24 (92%) 例であった.初回治療の効果判定はCR/PR/SD/PDが20/47/40/31例であった.手術は35例に施行され,その内訳は食道切除28例,単開胸2例,バイパス術5例であった.R0手術は19例で術後合併症は20 (57%) 例に認められた.術後再発部位は局所/リンパ節/播種/遠隔が各4/8/2/4 (重複あり) 例であった.手術例は非手術例 (n = 115) に比較しcType 3/4の頻度が低く (P = 0.009),cN0 (P = 0.049)とcM0 (P = 0.023) が多かった.また,初回治療としてはDCFを用いた導入化学療法の割合が高く(P = 0.002),奏効率65%と有意に良好であった (P = 0.03).手術例は非手術例に比較し予後良好で (3年生存率,38% vs. 21%,P = 0.045),さらにR0手術例はR1/2例に比較し予後良好であった (3年生存率,65% vs. 15%,P = 0.011).全生存率に関しては手術例以外にcM0 (P = 0.001),cStage (P = 0.005),導入化学療法 (P = 0.028),初回治療奏効例 (P<0.001) も予後との関連性が認められた.多変量解析では初回治療奏効例 (P<0.001),導入化学療法 (P = 0.001),年齢65歳未満 (P = 0.005) が独立した予後規定因子として認められた.
【結語】T4b胸部食道癌に対する導入化学療法の有用性が示唆された.導入化学療法奏効例には手術を含めた積極的な治療戦略が予後改善に必要であると考えられた.
詳細検索