演題

O1-19-10-5

Non-T4 stage III食道扁平上皮癌118例におけるdCRTを含めた集学的治療の成果と今後への展望

[演者] 谷山 裕亮:1
[著者] 中野 徹:1, 桜井 直:1, 瓶子 隆弘:1, 武山 大輔:1, 佐藤 千晃:1, 丸山 祥太:1, 今野 卓朗:1, 神宮 啓一:2, 亀井 尚:1
1:東北大学大学院 先進外科学, 2:東北大学大学院 放射線治療科

【背景】現在本邦おける進行食道扁平上皮癌の標準治療は術前補助化学療法(NAC)後の外科的切除とされている.しかしながらstage IIIにおけるその効果は限定的であり集学的治療によりその改善が求められる.今回我々はstage III食道癌におけるNACおよび術前補助放射線化学療法(NACRT),さらに根治放射線化学療法(dCRT)の効果を検討し今後の治療戦略を探った.
【方法】2008年から2013年にかけて当院で加療を行った治療前non-T4 stage III食道扁平上皮癌のうちNAC群54例,NACRT群56例およびdCRT群58例を対象とした.手術を施行した症例のうち,前期はJCOG9907に準じたNACを行い後期はJCOG9906の前半に準じたNACRTを行った.NACRTは頚部から腹腔動脈根部を含むlong T字の予防的照射野を設定し総線量30Gyとした.dCRT症例では総照射線量は60-70Gyとし,抗癌剤は5FU+CDDP (or CDGP) を使用した.この両群に対して治療効果と長期予後を比較検討した.
【結果】R0切除率はNACRT群で高い傾向が見られた (NAC:85.7%, NACRT:96.3% p=0.0536).再発率はそれぞれNAC群55.4%, NACRT群48.1%,dCRT群63.8%とdCRT群で再発がやや多くみられたものの統計学的有意差は認めなかった(p=0.2479).他病死はNAC3例,NACRT4例,dCRT8例で,肺炎死がNACRT, dCRT症例に多くみられた.NAC, NACRTおよびd-CRTそれぞれの5年全生存率 (OS) ,疾患特異的生存率 (DSS) はOS: NAC51.6%, NACRT48.8%, dCRT 33.9とDSS: 54.3%, 54.6%, 46.1%であった.dCRT症例のうちsalvage食道切除およびsalvage ESDを行った症例はそれぞれ4例と8例で,ESD症例は全て長期生存を得られているが,食道切除症例における長期生存症例は1例のみであった.食道温存し長期予後を得られた症例は全dCRT症例の約1/3であった.
【考察】stage IIIの食道癌に対して,NACRTは現行のNACと比較して有意な予後改善効果は得られなかったものの,R0切除が難しい症例においては有効である可能性が示唆された.またdCRTは,食道温存を優先に考える患者に対して推奨できる根治的治療法の一つと考えられた.
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