演題

O1-19-10-4

進行食道癌に対する集学的治療戦略とその成績

[演者] 若月 幸平:1
[著者] 松本 壮平:1, 右田 和寛:1, 伊藤 眞廣:1, 中出 裕士:1, 國重 智裕:1, 中谷 充宏:1, 北野 睦子:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科

【はじめに】現在も進行食道癌は難治性疾患であり,治療成績の向上のため様々な工夫がなされている.
【対象】2008年1月から2015年12月までcStageII (n=40), III (n=54) (TNM分類) と診断した94例を対象.
【術前化学療法】Docetaxel + Cisplatin + 5-FU (DCF) 療法を2クール施行.術前の栄養状態が不良な患者(PNI低値)に対しては,積極的に経口栄養療法を施行している.
【周術期管理】高サイトカイン血症の予防のため,執刀前にステロイドを投与.予防的抗菌薬の投与は執刀前および術中のみとし,術後は投与せず.手術室で抜管のうえICU入室.術翌日よりリハビリを開始.
【手術手技】進行癌に対してもVATS-Eを施行.術後肺合併症の予防のため,可能な限り迷走神経肺枝,気管支動脈を温存.また,人工気胸やエネルギーデバイスの使用で出血量の減少につとめている.3領域郭清を基本とし,細径胃管による胸骨後経路,頸部吻合を標準術式としている.R2症例では術後に根治をめざしchemoradiotherapy (CRT) を施行.
【術後補助化学療法】全身状態が許す限り,リンパ節転移陽性例に対してはDCF療法もしくは5-FU + Cisplatin 療法を施行.
【再発後の治療】単発のリンパ節再発や肺転移,肝転移など完全切除が得られると判断した場合は外科的切除,それ以外ではchemotherapyまたはCRTを選択.
【成績】DCF療法はほぼ全例で完遂でき,病理組織学的効果はGrade1b以上が32.9%.VATS-Eの完遂率は95%.在院日数の中央値は22日.胸腔鏡操作の出血量は平均170cc,手術時間は平均279min.術後合併症は肺合併症が7.1%,反回神経麻痺が12.2%,縫合不全が17.4%.最近2年間の縫合不全は胃管作成の工夫と吻合法の変更で6.7%まで減少.R0症例のステージ別(TNM分類)5年全生存率は,pStageII: 69.7%,pStageIII: 40.0%(全国平均はStageII: 約60%,StageIII:約40%).
【結語】進行食道癌に対するDCF療法およびVATS-Eは安全に施行しえた.ただし,pStageIII症例に対する治療成績はいまだ満足できるものではなく,更なる集学的治療の向上が必要と思われた.
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