演題

O1-19-10-3

進行食道癌に対するテーラーメードNAC治療の可能性

[演者] 尾島 敏康:1
[著者] 中森 幹人:1, 中村 公紀:1, 勝田 将裕:1, 辻 俊明:1, 早田 啓治:1, 加藤 智也:1, 北谷 純也:1, 山上 裕機:1
1:和歌山県立医科大学医学部 外科学第二教室

現在,わが国におけるStage II/III進行食道癌に対する標準治療は2剤併用の術前化学療法CDDP/5-FUと位置づけられている.私達はより強い術前の抗腫瘍効果を期待し,2008年1月から2012年12月まで,Stage II/III食道癌に対するDoc/CDDP/5-FUの3剤併用の術前化学療法の第II相試験を行ってきた(Ojima T et al. Anticancer Res. 2016).具体的にはDoc 35mg/m2 を2回, シスプラチン12mg/m2 を5回投与, 5-FU 600mg/m2 を5日間連続投与する分割regimenを行った.進行食道癌45例が本試験にエントリーし,治療効果はCR 11 %,PR 32 %であり,RRは43 %であった.化学療法に伴う周術期合併症の増加は認めなかった.食道癌手術におけるR0切除率は87 %であった.切除標本における化学療法効果判定はGrade 2以上が40 %であった.病理診断によるdown staging率は40%であった.術後再発率は56%であり,術後2生率は52%であった.要約すると,術前DCF分割投与は40%の症例は有効であったが,60%は無効であった.DCF regimenはhigh toxicであり,実際,本試験においてGrade 3 以上の血液毒性は56 %に認めた.術前DCFの治療効果が予測できれば,進行食道癌の治療成績向上ならびに副作用軽減を目的とした個別化化学療法に結び付くと考えられる.そこで私達は付随研究としてDCF効果予測バイオマーカーの検索を行った(Ojima T et al. Surg Today. 2016).術前内視鏡生検材料よりERCC1,TUBB3,BRCA1,TSの蛋白発現を確認し,発現の有無と治療効果との相関性を検討した.切除標本にて病理組織学的効果を発揮する患者因子,腫瘍因子はrogistic多変量解析にて,ERCC1 negative,BRCA1 positiveであった.また両因子を有する群は全症例でGrade2以上の組織学的効果を認め,術後生存も有意に延長していた.またCox多変量解析にてBRCA 1 positiveは無再発生存を延長する独立した予後因子であった.ERCC1,BRCA1はDCFの有望な効果予測バイオマーカーであり,今後,両試薬を用いた進行食道癌に対する個別化治療確立に向け,前向き臨床試験を行う予定である.
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