演題

WS15-11

穿孔性消化性潰瘍に対する閉鎖術後の腹腔内ドレーン留置の意義

[演者] 奥村 公一:1
[著者] 肥田 侯矢:1,2, 錦織 達人:1, 久森 重夫:1,2, 細木 久裕:3, 角田 茂:1,2, 小濵 和貴:1,2, 坂井 義治:1,2
1:京都大学大学院 消化管外科学, 2:京都大学附属病院 消化管外科, 3:京都市立病院 外科

【背景】消化性潰瘍において穿孔性腹膜炎に対する標準治療は穿孔部の閉鎖術であるが,その際の腹腔内ドレーン留置の意義は明らかではない.ドレーン留置の有効性を評価した先行研究は不十分な評価にとどまるが,欧米においてはドレーンを省略する傾向にある.【目的】穿孔性消化性潰瘍の閉鎖術における本邦での腹腔内ドレーン留置の現状を分析にするとともに,腹腔内ドレーン留置の有効性を明らかにする.【方法】全国500施設のDPC/PDPSを経年的に収集した臨床ビッグデータであるQuality Indicator Projectのデータを用い,2010年7月から2016年3月までに穿孔性消化性潰瘍に対して穿孔部閉鎖術を行った患者を対象とし,後方視的に解析をした.ドレーン留置群と非留置群の経皮的または開腹/腹腔鏡下ドレナージ術を要した症例の割合を比較した.交絡要因は傾向スコアマッチング法にて調整した.【結果】適格解析対象は326施設の4809例であった.全症例に対してドレーン留置を行っている施設を5例以上の手術症例のある施設に絞り解析すると,146施設(61.3%)存在することが明らかとなった.手術症例数,外科医数の少ない施設でドレーンを留置した患者の割合が高かった.また,全患者解析では,4350例(90.4%)にドレーンが留置されていた.ドレーン留置群は,非留置群に比較して,緊急入院・術前ショック状態の割合が高く,手術時間は長く,術中腹腔内洗浄量が多かった.傾向スコア法を用い,各群455例をマッチングした結果,術後観血的加療を要する腹腔内合併症は,ドレーン留置群で13例(2.9%)であり,非留置群26例(5.7%)と比較して有意に少なかった(Odds比=0.49; 95%信頼区間=0.25-0.96; p=0.03).ドレーン留置群で全入院費用は高く,術後在院日数は長かった.【結論】本邦では穿孔性消化性潰瘍に対する穿孔部閉鎖術においては90%以上の症例でドレーン留置を行っていた.医療費はやや上昇し,入院期間は延長したが,腹腔内ドレーン留置は術後観血的加療を要する腹腔内合併症の発生を抑制する可能性が示唆された.
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