演題

WS15-10

汎発性腹膜炎に対する腹腔鏡下手術の検討

[演者] 北川 一智:1
[著者] 須知 健太郎:1, 米花 正智:1, 吉岡 裕司:1, 甲原 純二:1, 松井 道宣:1
1:京都九条病院 外科

【はじめに】当院は緊急手術の約8割を鏡視下手術(以下,ラパロ)に施行している.汎発性腹膜炎についても積極的にラパロで行っているので報告する.【方法】2012年6月から2016年8月までに当院施行した汎発性腹膜炎の手術症例64例に関して,上部(胃,十二指腸),右側(小腸,虫垂,右側結腸),左側(左側結腸,直腸)に分けてラパロの施行率,開腹とラパロの手術時間,出血量,術後在院日数について比較検討した.ラパロの適応外は①腸管拡張により視野が得られない.②全身状態不良で気腹が困難.③糞便がラパロではドレナージ不良となる.の3点とした.【結果】上部23例(胃6,十二指腸17),右側24例(小腸4,虫垂13,上行結腸7),左側17例(左側結腸9,直腸8).ラパロの適応率は上部83%,右側65%,左側59%であった.ラパロが適応にならなかった理由は,腸管拡張は右側の7例で,糞便は左側の4例で,全身状態不良は右側1例,左側2例であった. 直腸の1例のみで肥満による視野不良でラパロより開腹に移行した.ラパロは開腹に比べて上部では手術時間,出血量が少なく,在院日数は変わりなかった.右側では手術時間は変わらず,出血量と在院日数が少なかった.術後にCHDFを施行したのは左側の開腹3例であった.術後死亡は左側のラパロ症例(腹膜炎は治癒したが入院中に癌死)と左側の開腹1症例(腹膜炎によるショックで翌日死亡)のみであった.【考察と結語】今回の検討で上部疾患に関してはほぼ全例でラパロが可能であった.ラパロが適応とならなかった理由は右側では腸管拡張が89%で,左側では糞便のドレナージ不良が69%であった. 全身状態不良で適応ならなかった症例は3例のみであった.右側ではラパロで出血量と在院日数が著明に減少しておりラパロは非常に有効であったと考えられた.左側に於いて優位な差はなかったが在院日数はラパロで短縮していた(64日,32日).また全例で救命できており適応となる症例でラパロは有効ではないかと考えられる.当院では手術までの時間を短縮するためにラパロのセットを術式に応じて用意しており準備を全て定型化している.また手術時間を短縮するために高圧のジェット洗浄器を使用している.これにより迅速に手術を行い,基本的には10リットル以上の洗浄を行うことで良好な結果を得ていると考えている.以上のように汎発性腹膜炎に対しても適応を選ぶことで腹腔鏡下手術は有効な治療法となると考えられた.
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