演題

WS15-9

下部消化管穿孔に起因した急性汎発性腹膜炎手術症例に対する治療戦略

[演者] 黒田 雅利:1
[著者] 池田 英二:1, 劔持 雅一:1, 高木 章司:1, 山野 寿久:1, 工藤 泰崇:1
1:岡山赤十字病院 外科

【緒言】下部消化管穿孔に起因した急性汎発性腹膜炎は,近年においても死亡率が11-23%と高く予後不良である.当院の術後管理はSurviving Sepsis Campaign: International guidelines for Serve Sepsis and Shock (以下SSCG)に準じて行い,血液浄化療法(PMX.CHDF)については基本的に施行していないにも関わらず,死亡率は4.9%と良好である.当院における治療戦略を報告する.【対象】2000年4月から2016年10月までに当院で手術した大腸穿孔例122例(医原性は除外).【方法】生存群と死亡群の2群を比較し予後因子の検討を行った.統計学的検討はMann-WhitneyのU検定,t-test,Fisherのχ2検定を用いてp<0.05を有意差ありとした.【結果】年齢は69.3(22-96)歳,男性66例,女性56例.術前APACHⅡscoreは12.8(2-35)であった.穿孔原因は憩室が51例と最も多く,穿孔部位はS状結腸84例,上行結腸12例の順であった.手術時間は180min(65-340),出血量:260ml(10-4000).ICU入室期間は7.8日(0-82),在院日数は40.0日(2-255).死亡は6例(4.9%).6例全例が悪性腫瘍の末期状態で死因は癌死であった.121例(99.1%)は血液浄化療法を行わず,血圧維持が困難であった症例1例(0.9%)にのみCHDFを施行した.予後因子として30項目検討したところ,単変量解析で有意差を認めた項目は心拍数,Alb,Hb,Na,APACHⅡ score,担癌状態,多変量解析では担癌状態であった.【考察】当院における下部消化管穿孔に起因した汎発性腹膜炎に対する治療戦略はSSCGに準じて行っている.SSCGとの相違点として2点あげられ,①目標平均血圧を80mmHg以上としSSCGに比べ高く設定している.その理由として下部消化管穿孔患者は高齢者に多くみられ臓器血流の自動調節能が障害されている可能性が高いためである.②循環動態をCVPではなく心臓超音波検査で評価している.CVPは右心系前負荷の測定であり,下部消化管穿孔に起因した敗血症では左室収縮機能の低下が多いことから左心系前負荷を超音波(左房径,拡張末期左室系三尖弁圧較差)で評価をしている.血液浄化療法については本邦では積極的に施行され良好な成績の報告も多いが,ABDOMIX studyではPMX-DHPは否定されており,一定の見解は得られていないのが現状であり当院では昇圧剤によっても血圧が維持できない場合にのみ適応としている.【結語】当院における下部消化管穿孔に起因した汎発性腹膜炎に対する治療戦略は有用である.
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