演題

WS15-6

下部消化管穿孔の予後予測における敗血症新定義(Sepsis-3)の意義

[演者] 武山 秀晶:1
[著者] 遊佐 俊彦:1, 小川 克大:1, 岡部 弘尚:1, 林 洋光:1, 尾崎 宜之:1, 赤星 慎一:1, 生田 義明:1, 緒方 健一:1, 高森 啓史:1
1:済生会熊本病院 外科センター

【背景と目的】下部消化管穿孔は敗血症性ショックやDICから多臓器不全に至る危険性を有する重篤な病態である.2016年2月に敗血症の新定義(Sepsis-3)が発表され,SIRS基準が外れ,SOFAスコアの推移が採用された.さらにSeptic shockの基準は平均血圧65mmHg以上のために血管収縮薬を要するかつ乳酸値>2mmol/Lとなった.今回,下部消化管穿孔の予後予測因子におけるSepsis-3の意義を検討した.
【対象と方法】2011年11月から2016年4月に当院で手術を行った下部消化管穿孔63例を対象とした.対象症例を在院死群(D群)と生存群(A群)に分けて,患者背景因子,手術関連因子,術前乳酸値および全身状態のスコアリングシステム (qSOFA,SOFA,SOFAの術前後の変化,Septic shock,SIRS, 急性期DIC)について比較検討し,さらに在院死予測因子を解析した.
【結果】年齢中央値は80歳,男女比は30/33,穿孔部位は盲腸/上行/横行/下行/S状/直腸=2/3/5/3/41/9で,平均手術時間は155分,平均出血量は90mlで,在院死は11例(17.5%)に認めた.D群とA群間には患者背景因子および手術関連因子に有意差は認めなかった.術前乳酸値はD群/A群=6.9/3.5mmol/L,術前SIRS陽性はD群/A群=100/63.5%,術前SOFAスコア2点以上はD群/A群=90.9/61.5%,術前qSOFA2点以上はD群/A群=45.5/3.8%,術前急性期DICスコア4点以上はD群/A群=72.7/28.8%,術前Septic shockはD群/A群=27.3/5.8%,術後SOFAスコア2点以上の上昇はD群/A群=100/38.5%で,全因子においてD群で有意に高値であった.在院死亡予測因子の単変量解析では,qSOFA 2点以上(p=0.001),術前SOFAスコア2点以上(p=0.032),術後SOFAスコア2点以上の上昇(p<0.0001),術前Septic shock(p=0.032),SIRS陽性(p=0.002),急性期DICスコア4点以上(p=0.007)が有意な因子であった.多変量解析では,術後SOFAスコア2点以上の上昇のみ有意な因子として抽出された(p=0.001).術前SOFAスコア2点以上とSIRS陽性はその傾向にあった(p=0.057, p=0.056).
【まとめ】術後SOFAスコア2点以上の上昇は,下部消化管穿孔手術症例の有用な予後予測因子であった.さらに術前SIRS陽性,術後SOFA 2点以上の上昇は感度が高く,死亡例は全て陽性であった.
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