演題

WS15-5

下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎に対する予後指標と治療戦略

[演者] 清水 智治:1
[著者] 園田 寛道:1, 三宅 亨:1, 植木 智之:1, 森 治樹:1, 貝田 佐知子:1, 飯田 洋也:1, 北村 直美:1, 竹林 克士:1, 谷 眞至:1
1:滋賀医科大学医学部 外科学講座消化器外科乳腺・一般外科

【はじめに】下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎は重篤化しやすい病態であり外科治療のみでなく集中治療を必要とすることが多い.本学では,ICUスタッフと連携して積極的に血液浄化療法(BP)を施行しショック状態からの早期離脱に努めている.感染症診断の指標としてプロカルシトニン(PCT)が常時測定可能である.
【方法】2006年から2016年まで下部消化管穿孔にて外科的治療を行った69例を対象として,後方視的に周術期の各種臨床因子,血液浄化療法(blood purification; BP)導入の指標と術後28日および180日生存についてROC解析,Cox比例ハザードモデルにて検討した.
【結果】28日死亡率11.5%(8/69),180日死亡率20.2%(14/69)であった.28日死亡のリスク因子としては,単変量解析では,ASA-PS,術前・術後SOFA,MPI index,術中血管作動薬使用,血液浄化療法施行,多変量解析ではASA-PS,MPI indexが独立したリスクとして抽出された.180日死亡のリスク因子としては,単変量解析では,ASA-PS,術前・術後SOFA,術中Lactate値,APACHE II,術中カテコールアミン使用,血液浄化療法施行,多変量解析ではASA-PSが独立したリスクとして抽出された.
BPはノルアドレナリン0.06γ以上あるいはバゾプレッシン併用でPMX開始し,昇圧反応乏しく自尿があればAN69STを併用,AKIあればPMMA-CHDF併用することを原則としている.BPは28例(CHDF単独11例,PMX単独3例,PMX・CHDF併用 14例)で施行されていた.これらの症例でAPACHE II,PCT,SOFA,Lactateについて検討したところ,いずれもBP施行した死亡例で有意に高値であり,APACHE II>16 (AUROC=0.75131),術後PCT>22.5ng/mL (AUROC=0.78930),術後Lactate≧12mg/mL (AUROC=0.65505),SOFAスコア≧4 (AUROC=0.82012)の症例にBPが導入されていた.BP非施行症例での死亡例のうち1例は早期にショック離脱可能であったが多臓器不全にて死亡し,3例は癌合併症例で癌死した.
【結論】ASA-PS,MPI indexが短期死亡,ASA-PSは長期死亡の指標として有用である可能性が示唆された.術前が有用である.SOFA,MPI index,術中Lactate値,APACHE IIが高値である症例は予後不良である可能性が高く,迅速な外科的処置と集中治療導入が必要である患者の指標となると考えられた.また,APACHE II,術後Lactate値,SOFA,PCTがBP導入の参考となる可能性がある.
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