演題

WS15-4

Surgical Apgar Scoreによる急性汎発性腹膜炎術後の合併症・予後予測

[演者] 喜多 芳昭:1
[著者] 盛 真一郎:1, 馬場 研二:1, 内門 泰斗:1, 有上 貴明:1, 上之園 芳一:1, 又木 雄弘:1, 前村 公成:1, 夏越 祥次:1
1:鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学

【背景】外科手術後の患者状態や術後合併症を予測する評価法としてAPACH scoreやPOSSUM, E-PASS等様々な評価法があるが,多くのパラメーターを必要としており複雑な計算を必要とする.一方,2007年にGawandeらが,術中出血量・最低平均血圧・最低心拍数の3つのパラメーターを合計10点満点で評価するSurgical Apgar Score(SAS)を提唱し,以後様々な検討が行われ注目されている.今回,我々は急性汎発性腹膜炎緊急手術症例に対してSASの有用性を検証した.
【対象と方法】
2012年1月から2016年10月に当科において急性汎発性腹膜炎と診断され,緊急手術を施行した91症例.各症例でSASを算出し,合併症を含む各パラメーター・短期予後に関して解析を行った.
【結果】1. 年齢66.6±15.3(平均値±SD).2. 男性/女性 62/29例. 3. 原因疾患:大腸穿孔/絞扼性イレウス/小腸壊死/腹腔内膿瘍/十二指腸潰瘍穿孔/小腸穿孔/急性虫垂炎/縫合不全/急性胆嚢炎/その他 38/13/7/6/5/5/3/3/2/2/7例. 4. 手術術式:洗浄ドレナージ (人工肛門造設併施)/ 洗浄ドレナージのみ/小腸切除/ハルトマン手術/虫垂切除術/回盲部切除術/バイパス手術/胆嚢摘出術/ヘルニア修復術 36/21/14/8/4/3/2/2/1例.5. 合併症:38例で合併症を認め,合併症発生群で有意にSASが低値であった(SAS score 3.79 vs 6.04, p < 0.001).Clavien-Dindo分類(CD分類)IIIa以上の重篤な合併症は31例 (34.1%).6. SAS 0-4点群(低SAS群)と5-10点群(高SAS群)の2群で検討,低SAS群で有意にASAスコアが高く,重篤な合併症発生が多く,入院期間が延長していた.30日以内死亡は6例ですべて低SAS群に含まれた. 7. 予後:1年生存率は低SAS群で有意に低かった(p=0.002).
【結論】急性汎発性腹膜炎は重篤な疾患で診断直後に緊急手術の適応となることが多い.また術後合併症の頻度も高いにも関わらず,十分な術前検討が行えないことが多い.SASは術直後を含めた周術期に簡便に算出することができ,今回の検討において,術後の予後告知や手術侵襲の評価を客観的に行うことが可能であることが示唆された.特に術前合併症の多い症例を扱う3次救急医療を担う病院において,術後合併症や予後を予測することは重要である.急性汎発性腹膜炎術後のSASは,術後の予後告知や手術侵襲の評価を客観的に行うことができ,術後の合併症軽減に貢献できる可能性がある.
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