演題

WS15-3

NCDで得られるビッグデータを用いた非外傷性大腸穿孔緊急手術の評価

[演者] 福長 徹:1
[著者] 木村 正幸:1, 菅本 祐司:1, 田﨑 健太郎:1, 豊住 武司:1, 磯﨑 哲朗:1, 池田 優子:1, 花田 学:2, 渡邉 揚介:2, 松原 久裕:3
1:沼津市立病院 外科, 2:沼津市立病院 小児外科, 3:千葉大学大学院 先端応用外科学

救急医療の現場において医療の質を正しく評価することは困難な点も多いが,様々な情報を収集整理することは,医療の質の改善につながる重要な因子と考えている.
2011年から始まったNational Clinical Database (以下,NCD) では,登録データに基づいた集計分析結果からフィードバック機能が利用可能である.今回われわれは,NCDのRisk Calculatorで算出される手術死亡予測発生率を用いて,当施設における大腸穿孔緊急手術の「質」の評価を試みた.
【対象】2009年4月から2016年3月まで,当科で緊急手術を施行した非外傷性大腸穿孔は55例.NCD機構のFeedback機能から,2011-2013年に登録された急性汎発性腹膜炎手術27,377件を参照した.
【結果】対象55例の男女比は23:32,平均年齢は70.7±13.0歳であった.穿孔原因は悪性腫瘍31例,良性疾患18例,医原性6例.穿孔部位は,盲腸~上行結腸8例,横行~下行結腸9例,S状結腸32例,直腸6例であった.平均手術時間は165分,平均出血量は396gであり,一時的回腸瘻を含む何らかの人工肛門を45例(81.8%)に造設した.手術創は,26例が感染対策のため解放創とし,13例では塩化ビニル製チューブを用いた腹壁全層マットレス縫合で腹壁閉鎖を行っている.高度汚染11例に対し,術後にPMX療法等の血液浄化法を施行した.手術関連死亡は8例(術後30日死亡が5例9.1%),平均在院日数は33.5日であった.一方,NCD登録の急性汎発性腹膜炎手術27,377件の平均年齢は65.2歳,術後30日死亡の発生率は8.6%,平均在院32.6日であった.
当院症例では,Risk calculatorで算出された術後30日死亡予測発生率が20%以上の9例のうち4例(44.4%)が30日以内死亡で,予測発生率20%未満の46例では30日死亡は1例(2.2%)のみであった.また,手術関連死亡予測発生率が30%以上の11例中7例(63.6%)が手術関連死亡を来たしたが,30%未満の44例で手術関連死亡は1例(2.3%)であった.死亡または6週間以上の長期入院を要したアウトカム不良例19例とそれ以外の36例の死亡予測発生率(術後30日/手術関連)は,アウトカム不良例で各17.4%/30.8%と良好例の5.1%/9.9%に比べ有意に高値で, SOFA,APACHEⅡ,POSSUM等の各種重症度スコアと比べてもアウトカムの予測に有用であった.
【まとめ】当院の非外傷性大腸穿孔緊急手術例の手術成績を,NCDデータをもとに全国平均と比較検討した.NCD Risk Calculatorは急性汎発性腹膜炎手術のアウトカム予測に有用であった.
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