演題

WS14-11

マウス肝障害モデルを用いたMuse細胞移植療法の検討.

[演者] 伊関 雅裕:1
[著者] 若尾 昌平:2, 串田 良祐:2, 水間 正道:1, 深瀬 正彦:1, 林 洋毅:1, 元井 冬彦:1, 出澤 真理:2, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学, 2:東北大学大学院 細胞組織学分野

【背景】間葉系幹細胞は,骨髄・脂肪・真皮などに存在する幹細胞であり,その細胞移植療法は安全性が高く既に臨床応用が展開されている.multilineage-differentiating stress-enduring (Muse)細胞は間葉系幹細胞に含まれる3胚葉性細胞への分化を示す多能性幹細胞であり,iPS細胞・ES細胞と異なり倫理的問題がなく腫瘍化しないという点で臨床応用に適しており, Muse細胞を用いた製品開発・臨床試験への動きもある.我々は,Muse細胞は細胞移植により高い再生効果を発揮し,肝不全の新たな治療法となる可能性があると考え,マウス肝障害モデルに対するMuse細胞移植の効果を評価することを目的とした.
【方法】ヒト骨髄由来間葉系幹細胞からMuse細胞を単離,Muse細胞を除く間葉系幹細胞をnon-Muse細胞として単離した.Muse細胞の3胚葉性分化,肝細胞系への分化を免疫組織化学で評価した.障害肝への遊走能を,in vitroでの遊走能試験とin vivoでの体内動態試験・免疫組織化学で評価した.マウス肝線維化モデルへの移植実験ではそれぞれの細胞移植による肝機能改善効果を主に血液検査と組織学的評価で比較した.
【結果】単離したMuse細胞・non-Muse細胞を浮遊培養したところ,Muse細胞からのみM-clusterが形成され,増殖した細胞の3胚葉性分化が確認された.また肝細胞系マーカー陽性細胞も存在し,Muse細胞が肝細胞系へ分化することが示された.またMuse細胞は障害肝への遊走能も高く,全身投与後14日の時点で障害肝に生着していることが体内動態試験,免疫組織化学で確認された.non-Muse細胞の障害肝への生着は確認されなかった.線維化モデルの移植実験においては肝機能改善効果・肝線維化抑制効果といった機能的な改善が示された.さらに免疫組織化学及びFISHにより,生着したMuse細胞にcell fusionなく分化していることが示され,Muse細胞の直接的な肝細胞への分化が示唆された.
【考察】Muse細胞は肝細胞系への分化能・障害肝への高い遊走能があり,マウス肝線維化モデルへのMuse細胞移植は肝細胞への直接的な分化による肝機能改善効果を発揮することが示唆された.Muse細胞移植が新たな肝不全の治療法になると期待される.
詳細検索