演題

WS14-6

新規初代培養法の構築と臨床応用を目指した開発研究

[演者] 三吉 範克:1
[著者] 大植 雅之:1, 高橋 佑典:1, 安井 昌義:1, 杉村 啓二郎:1, 文 正浩:1, 小林 省吾:1, 高橋 秀典:1, 大森 健:1, 宮田 博志:1
1:大阪府立成人病センター 消化器外科

がんは根治の難しい疾患であり,外科切除のみならず化学療法などその治療法は目覚ましい進歩を遂げているが,未だ十分な効果が得られていないのが現状である.抗癌剤などの化学療法の基礎的研究にはがん細胞に対する作用を見る必要があり,一般的には長期間維持され,安定した性質を持つ「細胞株」が用いられている.しかし,実臨床で向かい合う「がん」には多様性があり,均質な細胞集団であるがん細胞株と比較すると,その形態,遺伝子発現など,多くの点で異なっていることがあきらかである.こうしたことから,根本的な癌治療を目指す場合,個々の患者のがん組織の性格を保持したがん細胞を抽出して解析することが肝要であると考えられる.個々の患者に由来する臨床検体からがん細胞を樹立する方法として「初代培養」が挙げられるが,コンタミネーションの問題,低い樹立効率などの問題があり,安定した手法は未だすくない.本研究では,患者の「がん」の性質を保持したがん細胞を臨床検体から安定して樹立する方法について検討した.これによりがん細胞を培養増殖させることで,解析するために十分なサンプル量を補えること,薬剤感受性をみることが可能となり,癌の診断から治療に至る幅広い分野で応用できるものと考える.
大腸癌症例20例について,外科切除後にがん組織を採取し,酵素処理を行った後に,特定のポアサイズのフィルターで濾過した細胞集団を収集して培養を行った.2次元もしくは3次元で培養されたこれらのがん細胞の90%(18/20例)は継代可能であり,免疫不全マウスに接種して病理組織像を確認したところ,外科切除標本における病理組織像と非常に似通った形態を示していた.われわれはこの継代可能な癌細胞集団をisolated tumor-derived Cancer Cells(iCCs)と名付けた.今回,われわれの樹立したiCC細胞について,マイクロアレイ解析,遺伝子変異解析,FACSによる表面マーカー解析を行った.また化学療法感受性試験を行い臨床現場に反映されるような有用性についても検討を行った.さらに他のがん種についても検討を行ったので,これらの結果について報告する.
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