演題

WS14-3

消化器がんに対する新規アジュバントを用いたがんペプチド療法の第I相試験

[演者] 鈴木 伸明:1
[著者] 硲 彰一:1,2, 兼清 信介:1, 松井 洋人:1, 坂本 和彦:1, 武田 茂:1, 吉野 茂文:1,3, 玉田 耕治:4, 上野 富雄:1, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 消化器・腫瘍外科学, 2:山口大学医学部 先端がん治療開発学, 3:山口大学附属病院腫瘍センター, 4:山口大学大学院 免疫学

【はじめに】がんペプチドワクチン療法は,これまで大きな期待を持って進められてきたが,現状では十分な効果が得られているとは言い難い.そこで,これまで我々が行ってきたがんペプチド療法の結果を再検討し,現在開発中の新しいペプチド療法を報告する.【過去の臨床試験結果】山口大学では多施設との共同研究により,大腸癌や膵癌に対するペプチドワクチン療法を行ってきた.いずれの試験においても末梢血中にペプチド特異的に反応する細胞障害性Tリンパ球(CTL)の誘導が確認され,さらに第II相試験でのサブグループ解析では有意差を持ってペプチドの有用性が示された.しかし全症例の解析では生存率に有意差は認めなかった.【新規ペプチド療法の開発】さらに効果的ながんペプチド療法を開発するために,山口大学の臨床試験結果と保存検体を用いて,各種免疫調節細胞や機能分子を経時的に測定し,免疫療法における適切な症例選択・免疫誘導効果・抗腫瘍効果の予測に有用なバイオマーカーの探索を行った.具体的には末梢血リンパ球≧15%,PD1, TIM-3等の抑制性免疫が上げられ,免疫学教室との共同研究で負の免疫病態(免疫チェックポイント)を制御してペプチド療法の効果を高める新規免疫アジュバント(hLAG-3Ig + Poly-ICLC)を同定した.また,日本電気(NEC)と山口大学並びに高知大学の産学共同研究により,腫瘍抗原由来新規マルチHLA結合性ペプチド(HSP70由来ペプチド, GPC3由来ペプチド)を同定し,食道癌,胃癌,大腸癌,肝癌,膵癌における各腫瘍抗原の発現性を免疫染色にて確認した.【臨床試験中間報告】有効症例を選択するバイオマーカー,新規マルチHLA結合性ペプチド,新規免疫アジュバントを用いた第I相臨床試験を開始した.16名の症例登録があり,HLA-A*24:02, 02:01, 02:06にmatchした12例(食道癌3例,大腸癌4例,肝臓癌3例,膵癌1例,胃癌1例)にペプチドワクチンを投与した.本療法に関連する重篤な有害事象は認めず,3 patients cohortのLevel 3まで安全性が確認され,現在Level 3に症例追加中である. 評価可能11例中6例で腫瘍マーカー上,腫瘍性御効果が認められた.【結語】新規がんペプチドワクチン療法を開発し,第I相試験を開始した.学会ではさらに解析を進めて報告する.
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