演題

WS14-2

近づきつつある消化器癌の核酸治療

[演者] 山本 浩文:1,2
[著者] 平木 将之:1, 西村 潤一:1, 原口 直紹:1, 高橋 秀和:1, 畑 泰司:1, 松田 宙:1, 水島 恒和:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学医学部附属病院 消化器外科, 2:大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻 分子病理

私達はこれまでに,高い腫瘍集積性を有する生体作動性の核酸デリバリーシステムであるスーパーアパタイトを開発してきた.この粒子は炭酸,リン酸,カルシウムから成るシンプルな無機化合物であり,pH感受性に(酸性環境に反応して)細胞内で容易に内包する核酸をリリースする.
これまでに大腸癌の細胞株をヌードマウスに移植し,スーパーアパタイトによって多くのsiRNAやmicroRNAを腫瘍内に送達させることに成功してきた.SiRNAを用いた実験では,survivinや PKM2関連分子である polypyrimidine tract-binding protein (PTBP1)の発現抑制を通じてアポトーシス誘導や腫瘍増殖抑制効果を示した.またmiR-340はc-METを,miR-4689は,KRAS,AKT-1などの標的分子発現を抑制した.更に細胞を初期化させる(リプログラム)microRNAであるmiR-320, miR-369は大腸癌細胞を脂肪や神経の方向にシフトさせ,癌の悪性度を減弱させた.SiRNAやmicroRNAはデリバリーの問題が解決されれば,多くの疾患の新薬を生み出す可能性を秘めており,今回,スーパーアパタイトが生体内で効果を発揮するメカニズムに迫る.その性能は一連の各ステップの優位性が積み重なって達成されているといえる.
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