演題

WS13-11

5-ALAを用いた審査腹腔鏡検査時の光線力学診断の安全性及び有効性を検討する多施設前向き医師主導治験

[演者] 高橋 剛:1
[著者] 藤谷 和正:2, 大森 健:3, 西川 和宏:4, 林 太郎:5, 並川 努:6, 大辻 英吾:7, 村山 康利:7, 瀧口 修司:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院消化器外科学, 2:大阪府立急性期・総合医療センター 消化器一般外科, 3:大阪府立成人病センター 消化器外科, 4:大阪医療センター 外科, 5:彩都友紘会病院腫瘍外科, 6:高知大学附属病院 消化器外科, 7:京都府立医科大学附属病院 消化器外科

【背景・目的】腹膜播種を疑う進行胃癌に対し,治療開始前に審査腹腔鏡検査が積極的に行われ治療方針の決定に至る.我々は,これまで天然のアミノ酸の一種でありヘムの前駆体である光感受性物質5-アミノレブリン酸(5-ALA)を用いた光線力学診断を加えた審査腹腔鏡検査を臨床研究として実施し診断能の向上を報告してきた.今回,われわれは,「5-ALA 経口投与後の胃癌腹膜播種に対する光線力学診断併用審査腹腔鏡検査」についての薬事承認申請を目指した医師主導多施設共同治験を企画し,大規模に安全性及び有効性についてのデータを収集し,エビデンスを創出することを目的とした.さらに本試験は20mg/kgと40mg/kgの無作為化二重盲検の比較試験とし,続く検証試験につづく至適用量の探索試験と位置付けられた.
【対象・方法】大型3型胃癌,4型胃癌,CT画像診断で腹膜播種が疑われる進行胃癌患者30人を対象とし,審査腹腔鏡検査施行180-300分前に治験薬(5-ALA 20mg/kg もしくは 40mg/kg)を内服し検査を実施した.主要評価項目は安全性とし,副次評価項目として感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率,腹膜播種陽性被験者割合とした.
【結果】31例が本治験に登録され,20 mg/kg群: 40 mg/kg=14:17(例)に割り付けられた.年齢中央値(範囲)は,70(45-82)歳,男性:女性=19:12(例)であった.本治験での副作用の発現割合は,20 mg/kg群で53.8%(7/13例),40 mg/kg群で41.2%(7/17例)であり差を認めなかった.Grade3以上の重篤な副作用としては血圧低下1例とAST上昇1例認めた.また重要な副作用として光線過敏性反応を1例認めた.有効性の評価として,通常光観察:光線力学併用観察の診断精度は,それぞれ感度(83.5:98.6),特異度(75.5:38.8),陽性的中率(82.2:69.6),陰性的中率(75.5:95.0)(%)であった.腹膜播種陽性被験者の検討においては,光線力学診断併用により1例の播種陽性患者の上乗せ効果を認めた.20mg/kg群,40mg/kgの診断精度の比較においては,感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率に有意な差を認めなかった.
【考察・結語】5-アミノレブリン酸を用いた胃癌腹膜播種に対する光線力学診断併用審査腹腔鏡検査は,安全性が高く診断精度の向上を認めた.20mg/kgと40mg/kgでは有害事象,診断精度において差を認めなかった.本結果をもって,薬事承認申請を目指した検証試験を企画中である.
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