演題

WS13-3

安全な非開胸食道癌根治術を目指した取り組み:術前3D-CTシミュレーションの有用性

[演者] 小林 利行:1
[著者] 藤原 斉:1, 塩﨑 敦:1, 小西 博貴:1, 小菅 敏幸:1, 小松 周平:1, 市川 大輔:1, 岡本 和真:1, 中西 正芳:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学医学部 消化器外科学

【目的】食道癌に対する非開胸手術は,開胸手術や胸腔鏡手術に比べて,不良な術野展開と操作性のため十分なリンパ節郭清は困難とされていたが,我々はen bloc中下縦隔郭清を伴う腹腔鏡下経裂孔食道切除術式に加え,単孔-縦隔鏡テクニックを用いた頚部アプローチによるen bloc上縦隔郭清手技を行うことで,食道癌に対する非開胸根治術を行っている.しかし,経胸手術と比べ,気縦隔法による非開胸手術では視野が著しく異なるため,頚部および経裂孔アプローチ特有の縦隔解剖を十分に理解する必要がある.また,気管支動脈の走行は様々なバリエーションが存在し,術中に思わぬ出血を見ることがあるため,術前にその走行を把握しておくことは特に重要である.非開胸食道癌根治術における術前3D-CTシミュレーションの有用性を明らかにする.
【方法】気管支動脈描出条件にて造影CTを撮影し,3D-CT画像を構築し,(1)頚部および経裂孔アプローチによる食道と周囲臓器との位置関係,(2)大動脈からの左右気管支動脈の分枝・走行形態と食道および気管気管支との位置関係を確認,評価する.
【結果】(1)頚部および裂孔からの縦隔解剖を術前に3D画像で把握することで手術時の良好なオリエンテーションが得られた.(2)気管支動脈は,右気管支動脈と肋間動脈が共通管をなすタイプA,左右気管支動脈が共通管をなすタイプB,大動脈から直接分岐するタイプCに分けられた.気管支動脈と食道の位置関係においては,左気管支動脈は食道の左側を通り,右気管支動脈はタイプAでは全例が食道背側を,タイプBでは全例が食道腹側を,タイプCではほぼ食道腹側を走行するという結果であった.右気管支動脈に注目すると食道の腹側を通り右気管支へと流入するものが4割存在していた.術前に気管支動脈の走行を正確に把握することで,頚部アプローチによる深部縦隔操作時の安全な血管処理と十分なリンパ節郭清が可能であった.
【結論】安全な非開胸食道癌根治術を行うために,術前3D-CTシミュレーションは有用である.
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