演題

WS12-9

希釈麻酔液とCO2による剥離効果を利用した膨潤TAPP

[演者] 野村 良平:1
[著者] 徳村 弘実:1, 片寄 友:1, 西條 文人:1, 安本 明浩:1, 澤田 健太郎:1, 千年 大勝:1, 佐藤 馨:1, 松村 直樹:1, 武藤 満完:1
1:東北労災病院 外科

目的:現在鼠径ヘルニアに対する手術術式で腹腔鏡下に鼠径床を剥離しヘルニア門をメッシュにて被覆する方法が普及しているが,本邦では再発が多いとの報告があり手術の標準化が急務である.当科では2011年より腹腔鏡下にヘルニア修復をおこなうTAPP(transabdominal preperitoneal repair)法の手技的難点を解決する目的で腹膜下にエピネフリン加膨潤麻酔剤希釈液を大量注入する膨潤TAPP法を施行している.本研究の目的は本術式での手術手技の成績を明らかにすることである.【適応と対象】TAPPの適応は,初期100例目まで,80歳以下でASA PS 1,2として前立腺全摘後,巨大陰嚢型,下腹部手術後,ワーファリン例抗凝固剤,メッシュ使用再発ヘルニアは除外していたが,現在はPS3以上を除いてすべて適応としている.これまで2010年11月より540例を経験した.男478例,女性62例,平均年齢63.2歳であった.【方法】生理食塩水170ml,アドレナリン1mg/ml 0.2 ml,キシロカイン1%30mlの膨潤液200mlを作成する.Hesselbach三角上方→外側三角下方→外側三角上方の順に,それぞれ鼠径部腹膜前層に膨潤液50mlと炭酸ガス50mlを注入する.その後,TAPPを施行する.【結果】片側92分.鼠径部切開への移行はない.出血が少なく層構造など解剖が明瞭であり,腹膜前層を温存した腹膜剥離が容易になり,高額エネルギー器機を要しない手術が可能であった.合併症として術後再発例を2例(術後12ヶ月と術後35ヶ月)に認めた.術後疼痛は少ないと考えられた.【結語】膨潤TAPPは,合併症は稀で術後疼痛や違和感も少なく,精緻な手術が可能であり,今後の標準化が期待される.膨潤TAPPを施行した全手術成績は術後合併症および再発率ともに低値であった.
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