演題

WS12-5

腹壁補強を要しない成人外鼠径ヘルニアは存在するのか? ― LPECの成人への応用の可能性

[演者] 諸冨 嘉樹:1
[著者] 北田 智弘:1, 栄 由香里:2, 合田 太郎:3, 野口 浩平:3
1:大阪市立大学大学院 肝胆膵外科学, 2:ツカザキ病院 外科, 3:泉大津市立病院 外科

【目的】小児鼠径ヘルニアの根治術は単純高位結紮であり,高齢者鼠径ヘルニアはtension-freeの術式を行なうのが常識とされている.しかし,若年成人鼠径ヘルニアの術式に関しては発生機序を含め統一された見解がない.若年成人でも小児と同様の腹膜症状突起開存を原因とするものがあり,これはヘルニア嚢の単純高位結紮のみで根治するはずである.われわれの施設ではLPECの(若年)成人への適応を2007年より実施し,短期予後を日本ヘルニア学会に報告した.LPECの適応条件をヘルニア門の形態と直径から検討した.【対象と方法】LPECを実施した16歳以降と6歳以下の鼠径ヘルニア患者の2群を対象とした.16-45歳の男性23人,16-44歳女性27人の成人群と6歳以下群の男児30人,女児30人にLPECを行なった際の内鼠径輪の開存形態とその直径を観察した.【結果】術後経過観察期間は3ヶ月から10年で全例に合併症,再発を認めていない.成人群でヘルニア門の径が10mmが3人,12mmと15mmが各1人,20mmが3人以外は日本ヘルニア学会分類I-1であった.門の径は成人群7.9±1mm,6歳以下群7.5±1mmで有意差はなかった.【考察】若年成人の外鼠径ヘルニアでも6歳以下群と同様にタイプI-1が多く,LPECで根治できている.若年成人でも内鼠径ヘルニアは存在するので注意は必要だが,鏡視下の観察で分類,診断ができるので適応を誤らない.I-1かI-2の判断には測定上曖昧さがあるが,内鼠径輪開存直径が10-20mm以下であれば年齢にかかわらずLPECで根治する可能性が高い.本法は診断が確実で,異物挿入不要というメリットがあり,もし再発しても鼠径管を開放しないため再手術の妨げにならないため積極的に行なってもよい術式と考える.また高齢者でも悪性腫瘍で消化管を開放する手術と同時に外鼠径ヘルニア手術を行なわなければいけないときには有用な術式になることを最近経験したので報告する.
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