演題

WS12-4

組織縫合法(Iliopubic tract repair,McVay)を見直す

[演者] 高山 祐一:1
[著者] 金岡 祐次:1, 原田 徹:1, 亀井 桂太郎:1, 深見 保之:1, 高橋 崇真:1, 尾上 俊介:1, 宇治 誠人:1
1:大垣市民病院 外科

【はじめに】組織縫合法はメッシュ法と比較して,再発率と慢性疼痛の発生率が高く,鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015では,成人鼠径部ヘルニアに対して,原則的には組織縫合法は推奨できない(推奨グレードB)とされている.しかし,必ず必要な時があり習熟しておくべき手術手技でもある.当院では腸管切除を要した場合のヘルニア修復は汚染の程度に関係なく原則,組織縫合法によるヘルニア修復を行ってきた.当院での手術成績を検討し報告する.
【対象と方法】2008/1~2016/11までに当院で鼠径部ヘルニア修復術を行った2010例(2137病変)を対象に,ヘルニア修復を前方メッシュで施行(M群:1419例1496病変),腹腔鏡下にメッシュで施行(T群:477例529病変),組織縫合法で施行(S群:108例112病変 うちiliopubic tract repair:57病変,McVay:55病変)に分け,患者背景,手術成績を比較検討した.
【結果】年齢(歳)はM群:70.3,T群:61.4,S群:60.3(P<0.001),性別(男)はM群:90%,T群:90%,S群:62%(P<0.001)と組織縫合法の患者は若く,女性が多かった.ヘルニア分類(外鼠径/内鼠径/内外鼠径/大腿)はM群:67%/26%/4%/3%,T群:66%/23%/3%/2%,S群:61%/7%/0%/32%(P<0.001),緊急手術はM群:3.3%,T群:0.2%,S群:58%(P<0.001),と組織縫合法は大腿ヘルニア,緊急手術で多く,腸管切除を要した症例はM群:0.5%,T群:0%,S群:51%(P<0.001)で腸管切除64例中,56例(87.5%)が組織縫合法で修復されていた.術後合併症としての再発はM群:37例(2.5%),T群:3例(0.6%),S群:1例(0.9%)(P=0.0011)で,慢性疼痛(6カ月以上継続する痛み)はM群:6例(0.4%),T群:1例(0.2%),S群:0例(P=0.78)であった.SSIは腸管切除64例中11例(17.2%),腸管非切除2073例中4例(0.2%)(P<0.001)に認めた.
【考察】これまでメッシュ法での再発が1.7%であるのに対し,組織縫合法での再発は9.2%と報告されているが,当院の組織縫合法は再発率0.9%,慢性疼痛0%と良好な成績であった.また,腸管切除を要しても創部を変えることでメッシュの使用は問題ないとの報告もあるが,腸管切除例で17.2%のSSIを合併しており,メッシュの使用を避けることが望ましいと思われる.
【結語】組織縫合法は他の術式と比較して良好な成績だった.腸管切除例でのヘルニア修復は組織縫合法で行ったほうが良いと思われた.
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