演題
WS11-10
破裂肝癌の外科治療成績からみた治療戦略 |
【背景】肝細胞癌(肝癌)の破裂は腹腔内出血を来たしショック状態に陥ることがあり,早急な治療を行わなければ生命に危険が及ぶ病態であるが,治療方針は確立していない.
【患者・方法】2000年1月から2013年12月の期間に6大学病院で破裂肝癌に対しR0切除を施行した58例を対象とした(リンパ節転移,遠隔転移および腹膜播種を有する症例は除外).年齢は中央値65歳(範囲:36-80歳),男50例 女8例であった.臨床像,治療成績より在院死ならびに予後不良因子について検討した.
【結果】背景ではB型肝炎症例が多く(24例(44%)),組織学的肝硬変は18例(30%)に認められた.10例(17%)がショック状態に陥っていた.初期加療として,肝動脈塞栓術が41例(71%)で行われ,40例で止血し得た.また自然止血が13例(22%)で認められた(保存的治療).止血し得た53例では2期的に肝切除を行ったが,5例は緊急手術を施行した.破裂(診断)から手術までの期間は中央値40日(0-129日)であった.術式は28例(49%)で区域切除以上の肝切除が行われた.腫瘍径は中央値6.3 cm(2.2-25.0 cm)で,腫瘍脈管浸潤(Vp3/4 and/or Vv2/3)は8例(17%)で認められた.在院死は7例(13%)に認められた.初期治療別の内訳は,緊急手術症例は5例中3例(60%)と高頻度で,TAEで止血症例は40例中4例(10%,p=0.021 vs 緊急手術症例)および保存的治療例13例中0例(0%,p=0.012 vs 緊急手術症例)であった.術後5年/10年生存率は37%/34%であった.多変量解析で,緊急手術(p=0.026,オッズ比12.4(95%信頼区間1.35-113.2))が在院死に対する独立危険因子で,Child-Pugh B症例が独立予後不良因子であった.Child-Pugh B症例(7例)のうち在院死2例,2年以内死亡4例であった.
【まとめ】破裂肝癌に対してはTAEもしくは保存的治療によって全身状態を安定させてから手術を行うことが望ましい.Child-Pugh B症例の切除後予後が不良であることに留意すべきである.
【患者・方法】2000年1月から2013年12月の期間に6大学病院で破裂肝癌に対しR0切除を施行した58例を対象とした(リンパ節転移,遠隔転移および腹膜播種を有する症例は除外).年齢は中央値65歳(範囲:36-80歳),男50例 女8例であった.臨床像,治療成績より在院死ならびに予後不良因子について検討した.
【結果】背景ではB型肝炎症例が多く(24例(44%)),組織学的肝硬変は18例(30%)に認められた.10例(17%)がショック状態に陥っていた.初期加療として,肝動脈塞栓術が41例(71%)で行われ,40例で止血し得た.また自然止血が13例(22%)で認められた(保存的治療).止血し得た53例では2期的に肝切除を行ったが,5例は緊急手術を施行した.破裂(診断)から手術までの期間は中央値40日(0-129日)であった.術式は28例(49%)で区域切除以上の肝切除が行われた.腫瘍径は中央値6.3 cm(2.2-25.0 cm)で,腫瘍脈管浸潤(Vp3/4 and/or Vv2/3)は8例(17%)で認められた.在院死は7例(13%)に認められた.初期治療別の内訳は,緊急手術症例は5例中3例(60%)と高頻度で,TAEで止血症例は40例中4例(10%,p=0.021 vs 緊急手術症例)および保存的治療例13例中0例(0%,p=0.012 vs 緊急手術症例)であった.術後5年/10年生存率は37%/34%であった.多変量解析で,緊急手術(p=0.026,オッズ比12.4(95%信頼区間1.35-113.2))が在院死に対する独立危険因子で,Child-Pugh B症例が独立予後不良因子であった.Child-Pugh B症例(7例)のうち在院死2例,2年以内死亡4例であった.
【まとめ】破裂肝癌に対してはTAEもしくは保存的治療によって全身状態を安定させてから手術を行うことが望ましい.Child-Pugh B症例の切除後予後が不良であることに留意すべきである.