演題

WS11-8

食道癌における気道系のoncologic emergencyに対する緊急照射の検討

[演者] 熊倉 裕二:1
[著者] 栗山 健吾:1, 吉田 知典:1, 本城 裕章:1, 酒井 真:1, 宗田 真:1, 宮崎 達也:1, 桑野 博行:1
1:群馬大学大学院 病態総合外科学

【背景】Oncologic emergencyとは癌自身の存在,あるいは癌治療に関連した原因によって,発症後数日以内,または数時間以内に非可逆的な機能障害を生じ生命の危機が切迫している状態である.食道癌診療で腫瘍の存在自体が要因となる疾患特異的なoncologic emergencyの病態は腫瘍による消化管狭窄,出血,気道狭窄,穿孔・穿通などである.特に気道狭窄は,症状発現後の進行が早いため,速やかな対応が求められる.今回,我々は教室で経験した食道癌におけるoncologic emergency症例について解析し,治療の有用性について検討する.【対象と方法】2000年から2014年に教室で食道がんの治療を施行した875症例の中で,気道狭窄を理由に緊急放射線照射治療を施行した5症例について検討し,教室での気管もしくは左気管支浸潤に対するcT4症例63症例と比較して,緊急照射治療の意義について検討する.【結果】緊急照射施行症例は全例が男性,年齢は平均67.6歳(57-77歳),症状は4症例が呼吸苦であり,そのうち1例は,呼吸状態が悪く当院初診当日に緊急気管内挿管による呼吸管理を施行した.1症例に関しては画像診断上,左主気管支の狭窄所見が強く,緊急照射施行となった.初診から緊急照射までの期間は8.6日(1-12日),化学療法は4症例で施行可能であり,Docetaxel, Cisplatine, 5-FUによる3剤併用療法を施行した.治療効果判定はPR:SD=4:1例,照射後conversion surgeryもしくはsalvage手術を施行可能な症例は存在しなかったが,全例で呼吸器症状は消失した.照射開始後生存期間は緊急照射施行群で平均192.8日に対して,非緊急照射群では平均1447.7日であり,有意に緊急照射施行群で予後不良であった(p<0.001).【考察】気道狭窄に対する食道癌緊急照射が必要な症例は気道浸潤を伴うcT4症例の中でも特に予後不良であった.しかしながら,速やかな治療介入により数日以内での死亡の可能性があった症例に対する延命効果,QOL改善効果は高いと思われる.【結語】食道癌oncologic emergencyに対する緊急照射は救命の為に必須であり有効な治療法である.
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