演題

WS11-7

食道癌におけるOncologic emergencyの治療戦略と成績

[演者] 室井 大人:1
[著者] 中島 政信:1, 菊池 真維子:1, 渡邊 峻:1, 高橋 雅一:1, 志田 陽介:1, 伊藤 淳:1, 山口 悟:1, 佐々木 欣郎:1, 加藤 広行:1
1:獨協医科大学医学部 第一外科学

【背景】食道癌診療におけるoncologic emergencyの代表的なものとしては,腫瘍による出血,狭窄,穿孔などが挙げられる.ここでは,狭窄や瘻孔症例に対するステント,バイパス治療と大動脈浸潤症例について当科の治療戦略とその成績について報告する.【対象】2009年から2016年12月までにステント治療を行った24例,バイパス術を施行した6例,大動脈浸潤に対しCRT+サルベージ手術を施行した4例を対象とした.当科でのステントの適応は,高度狭窄あるいは気道との瘻孔形成があり切除不能な食道癌で,耐術能がなくPS>2,余命半年未満の症例としている.バイパスの適応は,PS≦2,余命半年以上,術前に機能的な嚥下障害がない症例としている.大動脈浸潤例については,CRT後に切除可能と判断された症例に限って大動脈ステント留置を行い,大動脈壁の一部合併切除を含むサルベージ手術を行っている.【結果】食道ステントの内訳は,男女比が23:1,占拠部位はCe1例,Ut3例,Mt9例,Lt9例,Ae2例,狭窄が15例,気管瘻が4例,肺瘻が4例,縦隔瘻が1例,経口摂取再開率は87.5%(21/24例)で狭窄に限っては全例で経口摂取可能であったが,瘻孔形成例では3例で経口摂取再開不能であった.バイパス術の内訳は,男女比が5:1,占拠部位はUtが1例,Mtが4例,Ltが1例,再建臓器はY字胃管が5例,小腸が1例であった.経口摂取再開率は100%と全例で再開可能であった.ステントとバイパスの比較では,経口摂取再開までの日数はステント群で4日(中央値,3-163日),バイパス群で6.5日(中央値,5-74日)と有意差をもってステント群で短い結果となった(p<0.05).また,術後在院日数では,ステント群で9日(中央値,6-72日),バイパス群で27日(中央値,13-74日)とこちらもステント群で有意に短い結果となった(p<0.05).大動脈浸潤例の内訳は,男女比が3:1,占拠部位はMt3例,Lt1例,CRTの併用化学療法はCF療法1例,DCF療法3例,組織型は全例SCC,手術時間は580分(平均),出血量は543.2ml(平均),術後在院日数32.2日(平均)であった.術後合併症は認めず,術後病理では全例CRを獲得していた.【結語】早急な介入を必要とする高度進行食道癌では,ステントやバイパスなど姑息的治療を選択せざるを得ない場合も多いが,根治の可能性があると判断した場合には安全性を担保した上で治療も検討すべきである.
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