演題

WS11-3

閉塞性大腸癌に対する治療戦略

[演者] 高橋 吾郎:1
[著者] 山田 岳史:1, 小泉 岐博:1, 進士 誠一:1, 松田 明久:2, 横山 康行:1, 岩井 拓磨:1, 武田 幸樹:1, 原 敬介:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学付属病院 消化器外科, 2:日本医科大学千葉北総病院 外科

【背景】閉塞性大腸癌患者の多くは全身状態が不良であり,緊急手術を要することが多く,術後合併症の頻度が高い.近年,経肛門的減圧管(trans-anal decompression tube; TDT)または自己拡張型金属ステント(self-expandable metallic stent; SEMS )を挿入後,待機的に手術を行う施設が増加し,特にSEMSが急速に普及してきている.しかし,術前のSEMS挿入における長期予後の安全性は未だ確立されておらず,腫瘍細胞を長時間圧迫することの影響が懸念されている.本研究では,2種類の減圧デバイス使用前後の血漿中に含まれるcirculating tumor DNA(ctDNA)をモニタリングし,減圧処置が腫瘍細胞へ及ぼす影響を検証した.
【対象と方法】対象は減圧処置を要する閉塞性大腸癌患者.主病巣の組織からDNAを抽出し,Ion PGMTMで変異解析を行った(cancer hotspot panel ver.2).減圧前,1日後,3日後,7日後に末梢血を採取し,1mlの血漿より循環 DNAを抽出し,digital PCRを用いて原発巣で認めた変異を検出した.
【結果】2014年11月~2016年6月に,閉塞性大腸癌は30例(StageⅣ16例,StageⅢ10例,StageⅡ4例 )であり,22例にSEMSを,8例にTDTを使用した.Technical success rateは両デバイスともに100%,clinical success rateはSEMS86.3%,TDT87.5%であった. 原発巣からは29例で平均3.8個の癌関連遺伝子の変異が検出され,28例で血漿からの検出が可能であった.SEMS留置後14例(63% )でctDNAが増加したのに対し,TDTでは1例(12%)のみ増加した(p=0.03).また,ctDNAはSEMS留置3日後で有意に増加した(before; 0.38 copies/μl vs day3; 2.4 copies/μl, p=0.02).
【考察】SEMSを挿入するとctDNA量が増加し,この現象は腫瘍を圧迫しないTDTでは見られない.ctDNAの増加は大量の腫瘍細胞の死滅や血液中への流入を示唆し,手術時のnon touch isolationの原則に反する.SEMSはoncologic emergencyに対する有効な手段ではあるが,予後に及ぼす影響を十分に検証し,その適応を明らかにする必要がある.
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