演題

WS11-2

胃癌穿孔の周術期経過と術式選択について

[演者] 和田 郁雄:1
[著者] 竹上 正之:1, 日吉 雅也:1, 那須 啓一:1, 稲田 健太郎:1, 高濱 佑己子:1, 脊山 泰治:1, 真栄城 剛:1, 宮本 幸雄:1, 梅北 信孝:1
1:東京都立墨東病院 上部消化管外科

【緒言】
胃癌の穿孔は胃癌の約1%に生じ,比較的稀である.通常,高度の腹膜炎を併発し,全身状態が不良であることが多い.腫瘍手術の原則は一期的切除だが,全身状態不良時の緊急手術として穿孔部閉鎖・大網充填とドレナージを施行し,二期的に切除を図ることもある.今回,我々は自験例を用いて,穿孔性胃癌の周術期経過について検討したので,報告する.【対象と方法】2003-2015年に当科で外科的治療を受けた穿孔性胃癌を対象とした.炎症と栄養に関する血液検査結果,術後合併症,入院期間等の術後短期成績について調査し,一期的胃切除と待期的胃切除について比較検討した.【結果】外科的介入を行った症例は26例で,年齢平均は63.6歳.急性期の症状は腹痛,発熱で,症状・検査から癌を診断することは困難であった.一期的切除は10例(一期群),待期的切除は8例(待機群),閉鎖術を施行したが癌の進行や他疾患のために胃切除を施行されなかった例は8例であった.一期群と待機群を比較すると,臨床症状,肉眼所見や病理結果に相違を認めなかった.待期群は初診から手術まで37.0 日の待期期間があった.術後合併症については,肺炎,縫合不全,脳梗塞が認められ,一期群の方が多い傾向にあった.術後入院期間は,一期群21.0日に対し待期群14.5 日と一期群の方が短かった.周術期の緊急検査可能な炎症・栄養指標(WBC, CRP, Albumin, NLR)について検討したところ,いずれの指標も1PODに差はないが,3-5PODから待期群の方がデータの改善が良好であった.【考察】穿孔性胃癌に対する手術治療方針として,一期的胃切除と,単純閉鎖など腹膜炎治療後の待期的胃切除が考えられる.これまでにも待期的切除の方が周術期死亡率が低いことが報告されているが,今回の我々の検討でも周術期合併症が低率で手術から退院までの期間が短い傾向であった.待期的切除の方が,周術期の栄養・炎症のマーカーが早期より改善しており,短期予後が良好であることとの関連が示唆された.ただし,待期的切除の方が一期的切除よりも発症から胃切除後退院までの期間が長い傾向で,長期予後についてはさらなる検討を要する.【結語】穿孔性胃癌は高度の腹膜炎を併発し,全身状態が不良で,術後合併症が多く,術後の回復も遅延する傾向がある.今回の術後短期予後の検討からは,初療は穿孔部閉鎖,ドレナージまでにとどめ,全身管理を行った後の待期的切除が推奨される.
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