演題

WS11-1

胃癌穿孔症例の治療戦略

[演者] 柳澤 真司:1
[著者] 海保 隆:1, 片岡 雅章:1, 西村 真樹:1, 小林 壮一:1, 岡庭 輝:1, 須田 竜一郎:1, 代市 拓也:1, 土屋 俊一:1
1:国保直営総合病院君津中央病院 外科

【目的】胃癌穿孔症例の治療方針を明らかにする.【対象】1989~2015年の胃癌穿孔手術症例32例.【成績】男:22,女:10,平均年齢67.8歳.同時期の胃癌手術症例中の1.4%,上部消化管穿孔例中の5.8%,胃穿孔例中の17.0 %をしめる. 緊急手術:25例中12例を術前に胃癌と診断したが9例は穿孔前に胃癌の確定診断または疑いの症例であり,穿孔時に診断したものは3例のみ.4例は術中に胃癌を疑い9例は術後の病理診断.穿孔時の胃癌の診断は不確実である. 待機手術は7例あり5例は上部消化管穿孔の診断で保存的経過観察後胃癌と診断. 切除:24例(幽門側切除:17,胃全摘:6,噴門側切除:1),非切除:8(穿孔部閉鎖:4,バイパス:2,胃瘻造設:1,ドレナージのみ:1).緊急手術25例中16例に1期的切除を施行.穿孔部閉鎖後2期的切除を施行した症例が3例,保存的加療後に切除術を行った症例が4例.1期的切除は1例を除き2006年までの症例,保存的加療後切除および2期的切除例は2007年以降の症例である.リンパ節郭清は1期的切除例でD0:10,D1:3,D1+:2,D2:1,であり郭清は不十分であったが,保存的加療後切除および2期的切除ではD1+:3,D2:4であった.壁深達度はT1:1,T2:2,T3:10,T4a:12,T4b:7. 進行度はStageⅠ:2,Ⅱ:9,Ⅲ:10,Ⅳ:8,不明,3,高度進行例が多い. R0:15,R1:2,R2:15と半数以上に腫瘍の遺残あり.予後に関しては生存3,死亡:27(胃癌死:13,他病死:3,他癌死:3,手術関連死:7,死因不明:1),不明:2.手術関連死は7例中6例がR2症例であり高度進行例では全身状態不良例あり.5生例は2例のみ(いずれもStageⅡ).不明例,手術関連死を除いた症例の5生率:13.0%,MST:16.4か月.R0症例では5生率:23.9%,MST:38.3か月.他病死,他癌死,手術関連死が多く評価は難しいが予後は不良である.R0のうち郭清がD0,D1(術死除く8例)では5生率:12.5%,MST:36か月.D1+,D2(6例)では5生率:31.3%,MST:not reachedであり,D1+,D2郭清例で予後は良好な傾向があった.【まとめ】胃癌と確診され全身状態が良好で根治性のある症例は郭清を伴う1期的切除も可能だが現実には郭清の十分でない症例が多い.穿孔時の診断は不確実であり,まず通常の上部消化管穿孔に準じ穿孔部閉鎖または保存的治療後を行い,胃癌と診断された症例に根治術を行った症例がより十分なリンパ節郭清を施行されており予後も良好な傾向があり,その方針が有用と考える.高度進行例は全身状態不良な症例が多く救命が優先される.
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