演題

ME-B-10-8

繰り返す横隔膜下膿瘍に対して手術を施行した一例

[演者] 稲畠 有規:1
1:千葉市立青葉病院 外科

緒言:横隔膜下膿瘍は,一般的に外傷,消化管穿孔,胆嚢炎,膵炎に続発することが多い.また,易感染性宿主や糖尿病は膿瘍形成の一因になりやすい.今回,基礎疾患のない,原因不明の繰り返す横隔膜下膿瘍に対し,手術を施行し治癒を得た症例を経験した.原因の特定できない横隔膜下膿瘍は稀であり,文献的考察を加え報告する.
症例:70歳男性.腹部の違和感,発熱を主訴に当院内科を受診.CTにて肝表面から横隔膜下にかけての膿瘍形成を認め横隔膜下膿瘍の診断となった.消化管との交通や易感染性を呈する基礎疾患はなく,原因は特定されなかった.抗生物質の投与と経皮的膿瘍ドレナージにて軽快した.しかしその1年後,同症状にて来院.横隔膜下膿瘍再発の診断となり前回同様に抗生物質,膿瘍穿刺を施行し軽快を得た.手術を検討されたが希望されず,外来での経過観察となった.さらに2ヶ月後に再々発の診断となり,同様の治療にて軽快.今後も繰り返す可能性が高いと判断し炎症が落ち着いた時点での手術の方針となった.術前検査では膿瘍腔は縮小し瘢痕化していたが,それまでの画像評価と同様に他臓器との交通は認めず,明らかな原因は特定されなかった.手術は開腹手術で施行した.肝前面と横隔膜との間に強固な炎症性の癒着を認めた.膿瘍形成の中心部は肝円索の左側であり膿瘍遺残,周囲の瘢痕部を遺残の無いように摘出した.癒着は高度であったが横隔膜の損傷はなく摘出し得た.術中所見や術後病理結果でも明らかな膿瘍の原因は不明であった.術後経過は良好で8日目に退院となり,現在のところ再発は認めていない.
結語:基礎疾患のない繰り返す横隔膜下膿瘍に対し,手術にて根治を得た症例を経験した.膿瘍穿刺での培養検査で有意菌を認めず,手術所見や病理結果でも原因を特定できない横隔膜下膿瘍はまれである.今回のような原因不明な難治性の横隔膜下膿瘍に対しては手術が有効な治療の一つであると考える.
詳細検索