演題

ME-B-10-7

腹腔鏡下に胆嚢,脾臓,左副腎腫瘍を同時に摘出した遺伝性球状赤血球症の一例

[演者] 植村 健治郎:1
1:岩見沢市立総合病院 外科

患者は79歳女性,6月に高熱・意識障害のため救急搬送され,当院入院となった.血液検査,腹部CTから総胆管結石による胆管炎からの敗血症,閉塞性黄疸と判断し胆管ステントを留置した.その後ドレナージにより胆管炎,閉塞性黄疸,意識障害は改善した.第8病日に総胆管結石に対し内視鏡的に採石を行った上で,胆嚢結石症に対して胆嚢摘出術の方針となった.術前精査でHb6.3g/dlの高度の貧血を認め,さらに家族歴として本人の長女,長男,孫二人が遺伝性球状赤血球症と診断されており脾臓摘出術を受けていることから,本人も遺伝性球状赤血球症(常染色体優性遺伝)の診断となり,脾臓摘出術も行う方針となった.また,腹部CTにて22×14mm大の左副腎腫瘍も認めたが,ホルモン値等の精査にて非機能性であることを確認した.腹腔鏡下胆嚢摘出術および脾臓摘出術の方針とし,同一のポート,同一の視野での手術の施行が可能であり,さらに今後副腎腫瘍が増大や悪性化した場合脾摘出により副腎摘除術が困難になる恐れもあったため,同時に左副腎摘除術も行う方針となり,第34病日に手術を施行した.
ポート配置は臍下部にカメラポート,操作用ポートとして右鎖骨中線肋骨弓下3横指下,剣状突起下2横指,右傍腹直筋上腹部中央の4ポートとし,さらに脾臓摘出術に対し左中腋窩線の臍よりやや頭側にポートを追加した.なお,副腎摘除術に対してはポートを追加する事なく安全に手術を施行することができた.胆嚢摘出術,脾臓摘出術,左副腎摘除術の順に行った.術中特に血圧上昇などの問題は生じなかった.出血量は361gで術中輸血は行わなかった.手術時間は7時間9分であった.
病理組織学的にChronic cholecystitis,Cortical adenoma of the left adrenal gland,hereditary spherocytosisであった.経過良好で術後22日目に退院となった.術後5か月経過したが,Hbは正常値まで回復し外来通院中である.遺伝性球状赤血球症に対する脾臓摘出術の多くは20~30歳代に行われることが多く,79歳という高齢患者に手術を行うことは稀である.また,遺伝性球状赤血球症における腹腔鏡下胆嚢摘出術,脾臓摘出術に加え本症例のように副腎腫瘍も同時に摘出した症例は非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.
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