演題

ME-B-10-5

腹腔鏡下脾摘術を行った splenic cord capillary hemangioma の 1例

[演者] 南保 和宏:1
1:金沢大学医薬保健学域医学類

脾臓の原発性腫瘍は稀であり画像上も特異的所見に乏しい事から診断的治療として脾臓摘出術が施行される事が多い. 今回, 脾過誤腫の診断で腹腔鏡下脾摘術を施行したところ免疫組織学的にsplenic cord capillary hemangioma と診断した国内外においても非常に稀な1例を経験したので病理組織学的特徴および手術の際の注意点を中心に考察し報告する. 症例は24歳の男性. 右下腹部痛で近医を受診した際に腹部CT検査で偶然に脾腫瘍を指摘され当院に紹介となった. 造影CT検査では脾上極に最大径8.5cmの分葉状腫瘤を認め, 中心部は乏血性であるが辺縁は緩徐に濃染された. MRI検査ではT1強調画像で脾実質と等信号, T2強調画像では不均一な等~低信号を呈し内部には車軸様の低信号域を認めた. 以上より脾過誤腫を第一に考え血管腫, Sclerosing angiomatoid nodular transformation, 炎症性偽腫瘍を鑑別診断にあげ診断的治療として腹腔鏡下脾摘術を施行した. 腹腔鏡下に脾臓の授動と脾門部処理を行ったが体外への取り出しには上腹部に12cmの切開を要した. 標本は360gであり肉眼的に7.2×7.0cm大の充実性腫瘍を認めた. 割面は白色調で辺縁が茶褐色であった. 病理組織学的には白脾髄構造は認めず小血管を含む部位が結節状となり周囲を密な線維が囲む構造を呈していた. 免疫組織学的検査ではその増生血管はCD8陰性でCD31, CD34陽性であることから cord capillary hemangiomaと診断した. 現在のところsplenic cord capillary hemangiomaの病理組織学的分類は定まっていないが過誤腫として記載され, 十分な免疫組織学的検討が行われていない事が多い. 腫瘍内の線維成分, 脾洞組織の構成割合により画像所見は異なるとされ一定の画像的特徴を示さないとされている. その事から術前に悪性腫瘍を否定することが非常に困難であり丁寧な術中操作が必要とされる. 過去の数例の報告からは若年者に発症することが多く, 門脈圧亢進症を伴っていない為, 腹腔鏡下手術の良い適応と考えられるが, 取り出しの際には術前に悪性腫瘍を否定できず腹膜播種の懸念から脾臓を砕くことができないうえに本腫瘍は硬く充実性腫瘍であることから比較的大きな切開が必要となる.
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