演題

ME-B-10-4

膵頭十二指腸切除後にTreitz靱帯部を尾頭側へ,次いで挙上空腸の結腸間膜間隙を頭尾側へ小腸が嵌頓した1例

[演者] 家護谷 泰仁:1
1:広島市立広島市民病院 外科

【緒言】膵頭十二指腸切除術(PD)後に挙上空腸の横行結腸間膜間隙に内ヘルニアを来した症例は報告散見するが,Treitz靱帯開放部が問題となる例は稀である.今回,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(SSPPD)後にTreitz靱帯開放部から頭側に脱出した小腸が,次いで挙上空腸の横行結腸間膜間隙へ頭側から尾側へ脱出し,内ヘルニアによって絞扼した1例を経験したので報告する.【症例】50歳代,女性.分枝型膵管内乳頭粘液腫と繰り返す膵炎に対してSSPPD施行した.術後大きな合併症なく3週間後に退院した.退院後,度々イレウス症状認めたが保存的加療で軽快していた.術後2ヶ月で突然発症の腹痛認め近医受診し,絞扼性イレウスの診断で当院紹介受診となった.造影CTでは臍部のレベルでclosed loopと腸管血流の低下を認めたが,絞扼部の解剖学的な位置は正確にはわからなかった.術中所見を以下に示す.小腸がTreitz靱帯開放部を尾側から頭側に脱出し,更に挙上空腸の横行結腸間膜間隙を頭側から尾側に脱出し絞扼していたため,これらを順に引き抜き,元の状態に復元した後,約130㎝の壊死腸管を切除し端々吻合した.更に挙上空腸の横行結腸間膜間隙とTreitz靱帯開放部を閉鎖して手術終了した.術後経過問題なく,14日目に退院となった.【考察】PDで挙上空腸の横行結腸間膜間隙から内ヘルニアをきたす報告は散見される.当院では全症例で横行結腸間膜に固定,閉鎖しているが,本症例では術後の炎症等で一部固定が外れたものと推測された.Treitz靱帯開放部は通常問題となることはなく,本邦で内ヘルニアを来した報告はない.当院では閉鎖するか否かは症例によってまちまちで,今回は閉鎖していなかった.本症例では脱出した小腸が挙上空腸背側で癒着を来していたことと,術後のイレウス症状から,比較的早期に脱出して癒着,固定されていたものと推測された.【結語】本症例の経験から今後はPDの際に挙上空腸の横行結腸間膜間隙のみならず,Treitz靭帯解放部も全例閉鎖することが望ましいと考える.
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