演題

WS10-9

切除不能膵癌に対する当科のAdjuvant Surgeryの現状(GEM/S-1時代からGEM-nab-PTX, FOLFIRINOX時代ヘ)

[演者] 林 洋毅:1
[著者] 水間 正道:1, 前田 晋平:1, 有明 恭平:1, 大塚 英郎:1, 中川 圭:1, 森川 孝則:1, 内藤 剛:1, 元井 冬彦:1, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学

【はじめに】当初切除不能・困難(UR)と思われていた膵癌に対するadjuvant surgery(AS)の予後改善効果が報告されている.gemcitabine+nab-pacritaxel療法(GEM+nab-PTX)やFOLFIRINOX療法に代表される新規抗癌剤(new anti-cancer drug, ND)の登場により,診断時切除不能とされた膵癌に対するASはさらに増加する事が予想される.
【目的】①当科のAS症例の予後を検証し,ND症例とgemcitabine and/or S-1に代表される既存薬(conventional anti-cancer drug, CD)症例の比較を行う.②UR症例のうち, NDを用いて切除を目指した全症例の治療経過,成績を検証する.
【結果】①AS症例は34例で施行されており,5生率は55.7%と良好であった.ND使用症例は10例で,2例の他病死(敗血症/重度弁膜症・心不全)を除くと8例全例生存中であるが,術後観察期間は最長8.8ヶ月,中央値5.4ヶ月と短かい. OD症例との予後の比較は現時点ではまだ出来ず,引き続き経過観察が必要である.ND症例のうち2例が再発しており,術後無再発生存期間はOD症例と差を認めなかった.②ND症例47例のうち32例でGEM+nab-PTX, 4例でFOLFIRINOX,11例は両者が投与されていた.NDはUR-A膵癌,二次治療以降でのエビデンスはないが,13例ではODを用いた前治療が行われており,非切除因子はUR-Mが23例,UR-Aが24例であった.UR-A症例の5例(20.8%), UR-M症例の5例(21.7%)の計10例(21.3%)で切除が可能となりASを施行した.15例(31.9%)は現在もconversionを目指して化学療法施行中であるが,22例(46.8%)は治療中に病勢進行を認めASを断念した.10例の切除症例のうち7例でR0切除,3例でR1切除がなされていた.治療効果はEvans grade Ⅲが2例,Ⅱbが3例,Ⅱaが5例であった.治療開始日を起点とすると,全症例のMSTは18.8ヶ月,切除不能症例はMST14.3ヶ月でOD非切除症例MST 9.4ヶ月よりも有意に予後良好であった( p=0.0134).切除例は最長27.8ヶ月(観察期間中央値15.0ヶ月)であった.
【結語】外科に紹介されたという時点で症例のバイアスはあるが,ND使用したUR膵癌症例の21%が切除可能であった.切除後の予後は観察期間が短く,従来の抗癌剤との比較には引き続き症例集積と経過観察が必要である.非切除症例の予後はODに比べ長く,ASまで至らなくてもND使用のメリットは十分にあると考えられた.
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