演題

ME-B-10-2

腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行したリンパ節転移を伴った膵solid-pseudopapillary neoplasmの1例

[演者] 福田 純己:1
1:KKR札幌医療センター斗南病院 外科

【はじめに】膵のsolid-pseudopapillary neoplasm(以下, SPN)にリンパ節転移を伴うことは稀である.今回われわれは11dリンパ節に転移を伴った膵SPNの症例を経験したので文献的考察を加え報告する.【症例】患者は33歳,女性.左腰背部痛を主訴に近医の整形外科を受診し,腹部レントゲン写真で卵殻状の石灰化を認めたため,精査加療目的に当院を紹介され受診した.腹部CTでは,膵尾部に46×48mm大の辺縁に石灰化を伴った類縁形の腫瘤性病変を認め,左Gerota筋膜・脾門部・脾静脈に近接して存在した.病変内部には充実性成分と出血壊死性の嚢胞成分を認めた.MRIではT1強調像で高信号,T2強調像で高信号と低信号が混在する所見を呈し,画像所見からは膵SPNが第一に考えられた.腫瘍は脾動静脈に接していることから脾臓の温存は困難なため術式を膵体尾部切除術(以下, Lap-DP)とし,腹腔鏡下に施行した.膵体部を後腹膜から授動の後,膵上縁で脾動静脈を切離し,膵実質は自動縫合器にて切離した.その後,膵尾部と脾臓を周囲より剥離し,標本を摘出した.手術時間280分,出血量33mlであった.術後経過は良好で膵液瘻などの合併症を認めず,術後10病日に退院した.病理組織学的検査では,類円形核と淡好酸性細胞質を持つ腫瘍細胞が毛細血管を軸とした偽乳頭状構造を呈し増殖していた.また,11dリンパ節の1つに主腫瘍と同様の腫瘍細胞が増殖しており転移を認めた.免疫組織染色にてβ-cateninが核内及び細胞質に陽性,CD10陽性,vimentin陽性であり,膵SPNと最終診断した.【考察,まとめ】膵SPNのリンパ節転移は頻度が低く,予後も良好であると報告されており,低悪性度腫瘍と認識されている.そのため予防的なリンパ節郭清は不要であり,近年では低侵襲かつ整容性に優れたLap-DPの良い適応と考えられている.しかしながら,稀ではあるが,本症例のようにリンパ節転移を伴った症例もあり,今後さらに普及が見込まれる膵腫瘍に対する腹腔鏡手術の適応を考慮する上で,示唆に富む1例であったと思われる.
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