演題

ME-B-10-1

腫瘍栓を伴う主膵管内進展を呈し膵全摘出術となった膵神経内分泌腫瘍の1例

[演者] 新井 聡大:1
1:東京医科歯科大学附属病院 肝胆膵外科

症例は38歳男性.健診でHbA1c 14.1%と高値を認め,精査のCTで膵尾部に85mm大の膵嚢胞性腫瘍を認め,腹側には正常膵実質と境界不明瞭な充実性成分,背側は壁の厚い単房性嚢胞で高吸収成分を認め,充実性偽乳頭腫瘍(SPN)が疑われた.腫瘍マーカーはCEA 1.6 ng/mL,CA19-9 8.8U/mLと正常範囲内であった.
以上よりSPNの術前診断で手術を施行した.
当初は膵体尾部切除を予定していたが,腫瘍は巨大で周囲組織と癒着しており可動性不良であった.腫瘍は胃十二指腸動脈(GDA)分岐部付近まで進展していたため,GDAを剥離して可及的に膵頭部を温存する尾側膵亜全摘術を試みた.しかし,迅速病理診断で膵断端に腫瘍成分を認め,膵頭部方向への追加切除はできず膵全摘術に移行した.
病理学的検査では膵体尾部に80×80×50mm大の厚い線維性被膜で覆われた内部隔壁を有する単房性嚢胞を認め,嚢胞内には85×70×40mm大の充実性増殖を示す領域が見られた.また,膵体部の嚢胞の頭側には35×25×15mm大の充実性結節も認められた.
組織学的にはどの領域においても充実性胞巣状増殖を主体とし,一部にロゼット配列や索状構造を示す小型腫瘍細胞を認めた.SynaptophysinとChromorganinAが陽性であり,Ki-67 indexが3.3%であったため,神経内分泌腫瘍(G2)と診断した.腫瘍は膵頭部まで連続性に広がり,Vater乳頭直下まで主膵管内を腫瘍栓として進展したが,十二指腸への浸潤は見られなかった.
術後,胃停滞があり食事摂取開始が遅れたが,大きな合併症なく経過した.血糖が180~280程度を推移していたため,血糖コントロールを行い,46PODに退院となった.
膵神経内分泌腫瘍は膵腫瘍の1-3%程度と少なく,その中で腫瘍の主膵管内進展および主膵管内腫瘍栓を認めた症例は比較的希である.今回我々は珍しい症例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.
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