演題

ME-A-10-7

二期的にTAPPを施行した鼡径ヘルニアに伴う続発性大網捻転症の1例

[演者] 小阪 祥子:1
1:府中病院 外科

症例は50歳代,男性.右鼠径部の膨隆と痛みを主訴に来院した.右下腹部に圧痛と腹膜刺激症状を認め,右鼠径部に用手還納不能な鷲卵大の腫瘤を認めた.血液検査でWBC 16,300/μL, CRP 24.83と高値を認め,腹部CTで腹部正中から右鼠径ヘルニア続く渦巻き状の層構造を呈していた同心円状の脂肪濃度上昇を呈し,右鼠径ヘルニアによる続発性大網捻転症と診断した.緊急で審査腹腔鏡手術をおこなった.臍からカメラポートを留置し,左右側腹部に5mm鉗子,恥骨上に2.4mm細径鉗子を留置した.腹腔鏡で観察すると,右下腹部を中心に血性腹水を認めた.そして右鼠径ヘルニア内に大網の末梢が嵌頓しており,それによって大網が3回転以上しており,壊死していた.また右鼡径部の腹膜は炎症で脆弱であり,汚染も危惧されたため二期的に鼠径ヘルニアを修復することとした.大網を還納し,壊死している大網を切除,摘出し手術を終了した.術後亜イレウス状態を認めたが,保存的に軽快し,術後11日目に退院となった.初回手術後28日目に,二期的にTAPP(transabdominal preperitoneal approach)にて腹腔鏡下鼡径ヘルニア修復術を行った.再手術時は腹腔内の癒着は軽度であり,typeI-2の右外鼡径ヘルニアに対して,ラージサイズのメッシュを用いて修復した.合併症を認めず術翌日に退院された.
大網捻転症は比較的稀な疾患であり,その原因となる器質的疾患がある場合は続発性に分類される.その診断には腹部CTが有用であるとされている.そして鼡径ヘルニアに伴う続発性大網捻転症に対して2期的にヘルニア修復術を前方アプローチ法で施行した報告はあるが,TAPP法での本邦報告例認めない.若干の文献的考察を加え報告する.
詳細検索