演題

ME-A-10-5

膵内副脾に生じたepithelial cystの1例

[演者] 松尾 知樹:1
1:済生会宇都宮病院

膵内副脾epithelial cystは,CTや腹部超音波検査で無症候性膵嚢胞性病変として指摘され,手術により確定診断される場合が多く,稀な疾患とされている.
症例は50歳男性.2015年健康診断の腹部超音波検査にて膵尾部に14mm大の嚢胞性病変を指摘された.2016年の腹部超音波検査で23mm大に増大傾向を認めたため,精査加療目的に当科紹介受診した.腹部CT検査で膵尾部に17mm大の壁肥厚を伴う多房性嚢胞性腫瘤を認めた.腹部MRI検査では,T1で脾臓との境界不明瞭な22mm大の内部均一なlow intensity area の所見を認め,T2では内部不均一であり,一部にhigh intensity areaを認めた.拡散強調画像では明らかな拡散能の低下は認めなかった.EUSでは膵尾部に22mm大の多房性腫瘤の内部に液体成分と腫瘍成分の混在を認めた.診断的治療目的で腹腔鏡下膵体尾部脾合併切除術を施行した.術後,膵液瘻(POPF:GradeC)認め,内視鏡的経胃ドレナージを施行し,術後34日目に軽快退院した.
病理所見では嚢胞病変を被覆する上皮は重層扁平上皮で,その異型は乏しく,脾臓とは連続性を認めず脾臓組織に類似し,副脾に由来する脾臓のepithelial cystと診断した.
膵内副脾に発生したepithelial cystは稀であるとされているが,膵尾部嚢胞性疾患は術前診断が困難である場合が多い.確定診断のためには病変切除による組織診断が望ましいが,悪性腫瘍の可能性が低いと考えられる症例では腹腔鏡下手術や脾温存術式が選択されることが多い.本症例では積極的に悪性を示唆する所見に乏しかったため腹腔鏡下手術を選択した.脾門部と隣接し癒着していたため術中判断にて脾臓を合併切除した.膵尾部嚢胞性病変の鑑別診断として膵内副脾の嚢胞性疾患を鑑別に置くことは治療法を選択する上でも重要であると考えられた.
術前診断が困難であった膵内副脾に発生したepithelial cystの1例を経験したため文献学的考察を加えて報告する.
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