演題

ME-A-10-3

大網原発脂肪腫捻転の1切除例

[演者] 大園 伊織:1
1:広島市立安佐市民病院 外科

症例は虫垂炎と骨粗鬆症の既往のある68歳女性. 前日から右側腹部痛が持続するため, 当院を紹介受診した. 来院時の身体所見では, 腹部平坦軟で右側腹部から右季肋部に圧痛を認めたが, 反跳痛は認めなかった. 血液検査では, 白血球9220/µl, CRP0.48と軽度の炎症反応上昇を認めた. 腹部造影CT検査では, 上行結腸腹側から肝床部にかけて大網内に長径60mm大の脂肪成分を主体とし, 内部に一部脂肪織濃度上昇を伴う境界明瞭な腫瘤を認めた. 腫瘤は圧痛部位と一致しており大網捻転が疑われた. 全身状態は安定しており, 保存的加療の希望があったため絶食, 輸液, 抗生剤投与の方針で入院, 経過観察とした. 第3病日, 血液検査で炎症反応の改善はしたが腹痛の改善がないため, 審査腹腔鏡を施行した. 術中所見では, 肝尾側の大網内に長径70mm大の表面平滑な暗赤色腫瘤を認めた. 腫瘤周囲は鈍的に剥離可能で結腸や腸間膜とは連続性を認めず, 大網原発と判断した. 悪性腫瘍の可能性もあり, 小開腹しマージンを取り大網付着部を結紮切離した後, 腫瘤を摘出した. 病理組織学検査では, 腫瘤は腫大し, シート状構造をとる脂肪小葉から構成されており脂肪腫と診断した. 悪性所見は認めなかった. 内部には不規則網状に新鮮出血巣を認め, 好中球や組織球の浸潤を伴っており, 茎捻転により急性出血性梗塞を来したと考えられた. 術後腹部症状は消失し, 合併症なく第8病日に退院した. 大網脂肪腫捻転の報告はこれまでに数例しかなく, 非常に稀な症例である. 今回の症例の鑑別診断としては, 大網捻転, 大網脂肪腫, 大網脂肪肉腫などが挙げられる. 大網捻転のCT所見としては, 同心円状の渦巻状の層状構造を呈することが挙げられるが, 大網脂肪腫捻転においても同様の所見を呈し, 鑑別が困難と報告されている. 近年, 大網捻転に対する腹腔鏡手術の報告は増加しており, 大網捻転を疑って腹腔鏡手術を行い, 大網脂肪腫捻転であった本症例においても本術式は有用であった.
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